ノドジロクサムラドリ

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ノドジロクサムラドリ
ノドジロクサムラドリ
ノドジロクサムラドリ(オス)
Atrichornis clamosus
保全状況評価[1]
ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: スズメ目 Passeriformes
: クサムラドリ科 Atrichornithidae
: クサムラドリ属 Atrichornis
: ノドジロクサムラドリ
A. clamosus
学名
Atrichornis clamosus (Gould, 1844)
英名
Noisy scrub-bird

ノドジロクサムラドリ(喉白叢鳥、Atrichornis clamosus)はクサムラドリ属に分類されるの1種。

分布[編集]

オーストラリア西オーストラリア州南西部)固有種

形態[編集]

全長16-23cm。メスよりもオスの方が大型になる。上面は褐色や暗褐色の羽毛で覆われ、暗褐色の横縞が入る。喉は白い羽毛で覆われ、腹部や尾羽基部の下面(下尾筒)は赤褐色の羽毛で覆われる。

卵は長径2.9cm、短径2cmで、黄褐色の殻で覆われ褐色の不規則な斑紋が入る。幼鳥は上面に横縞が無い。喉や胸部は赤褐色、腹部や下尾筒は白い羽毛で覆われる。

オスは喉に「八」字状に太く白い筋模様が入り、喉や上胸に黒い横縞が入る。

生態[編集]

海岸の周辺にある下生えが密生した林縁に生息する。地表棲で、飛翔することは少ない。オスは6-9ヘクタールの縄張りを形成し、生活する。

食性は動物食で、昆虫クモカエル、小型爬虫類などを食べる。地表を徘徊しながら、獲物を捕食する。

繁殖形態は卵生。他種の囀りを真似して取り入れた短く複雑な囀りを行う。婚姻形態は一夫一妻か一夫多妻。ドーム状で産座として腐食質を敷いた巣をメスが作り、5-11月(主に6月)に1回に1-2個の卵を産む。メスのみが抱卵し、抱卵期間は36-38日(1日中抱卵を行うわけではなく、短時間だが卵は放置される。)。雛は孵化してから21-28日で巣立つ。オスは生後3年、メスは生後2年以内に性成熟する。寿命は約9年と考えられている。

人間との関係[編集]

開発や野火による生息地の破壊などにより生息数は減少した。1842-1889年の間に6か所で発見例があったのみで絶滅したと考えられていたが、1961年に再発見された。1966年に生息地が保護区に指定された。保護区内での野火の発生防止などの環境整備により、生息数は増加傾向にある。1993年における生息数は約1,000羽と推定されている。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ BirdLife International (2012). "Atrichornis clamosus". IUCN Red List of Threatened Species. Version 2014.2. International Union for Conservation of Nature. 2014年9月29日閲覧
  2. ^ CITES Appendices I, II and III”. 2014年9月29日閲覧。
  • 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ6 オーストラリア、ニューギニア』、講談社2000年、89、193頁。
  • 黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科9 鳥III』、平凡社1986年、10-11頁。