ニシュタマリゼーション

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ニシュタマリゼーションの前後でのトウモロコシの変化

ニシュタマリゼーション英語: Nixtamalization)とは、トウモロコシをはじめとする穀物をアルカリ水で処理する方法。メソアメリカの食文化において重要であり、紀元前2000年のオルメカ文明の時代に始まったとされる。現在では、トルティーヤタマレスのための生地(マサ)を作る際に用いられている。

Nixtamalは、アステカの言語であるナワトル語で挽きわりトウモロコシから作った食物を意味するネシュタマリ(nextamalli)に由来し、この語は灰を意味するネシュトリ(nextli)と、マサを調理したものを意味するタマリ(tamalli)の合成語である[1]

初期の方法では、トウモロコシを石灰や木灰、カタツムリの殻などと一緒に煮て一晩冷まし、果皮を洗い流していた。トウモロコシをアルカリ水処理することで、必須アミノ酸ナイアシンの吸収が容易になり、栄養価が高まる。また、果皮を取り除くことで、すりつぶして練り物にすることが容易になった。 トウモロコシは栽培種として紀元前5000年以上前から利用されていたが、ニシュタマリゼーションにより、メソアメリカ先住民の食物の5分の4を占める主要な食材となった。この処理法を知らずにトウモロコシを食したヨーロッパ人たちの間では、ペラグラをはじめとする欠乏性疾患が増加した。

伝統的な製法[編集]

マサの作り方はトルティーヤタマルポソレ英語版などで異なる。トルティーヤの場合は、まず水洗いしたトウモロコシを鍋に並べ、水を加える。アルミニウム製の鍋はアルカリに反応するために好ましくない。弱火にかけて石灰水を加えると、トウモロコシはすぐに黄色に変色する。20分ほどしたら火からおろし、ひと晩つけたままにする。翌日水ですすぎ、(伝統的にはメタテで)挽いてマサを作る[2]

石灰が多すぎると、マサは濃い黄色になり、苦くなる[3]

問題点[編集]

ニシュタマリゼーションは古くから伝わるすぐれた処理方法ではあるが、大量に水を使用する欠点がある。また、水や石灰を生活廃水として捨てることにより環境汚染が発生する。さらに、ニシュタマリゼーションの過程でいくつかの栄養素が捨てられることも問題である[4]

脚注[編集]

  1. ^ The Past: Culture of Corn, Tortilla Technology. Past, Present and Future, http://www.maiztortilla.com/en/introduction/past.htm 
  2. ^ Kennedy (1986) pp.61-62
  3. ^ Kennedy (1986) pp.20-21
  4. ^ Technological Limitations of the Nixtamalization Process, Tortilla Technology. Past, Present and Future, http://www.maiztortilla.com/en/introduction/limitations.htm 

出典・参考文献[編集]

関連項目[編集]