ナガイボグモ科

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ナガイボグモ科
Tamopsis novaehollandiae on hibiscus.jpg
ナガイボグモ科の1種
Tamopsis novaehollandiae
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 鋏角亜門 Chelicerata
: クモ綱 Arachnida
: クモ目 Araneae
: ナガイボグモ科 Hersiliidae

ナガイボグモ科 Hersiliidae は、クモ類の分類群の一つ。糸疣の1対が長く伸びているのでこの名がある。普通は樹木の幹の表面で生活している。

特徴[編集]

完性域類三爪類に属するクモである。体は全体に扁平で、歩脚もごく平らにのばす。頭胸部はやや幅広で平らだが、中央前方の眼のある部分ははっきり盛り上がる。歩脚は細長いが、第三脚は特に短い。雄は雌よりやや小さくて華奢。

腹部もやや平らで、後半で幅が広い。目立つのは腹部後端から後方へ伸びる一対の尾で、これは三対ある糸疣のうちの後疣が長く伸びたものである。種によっては腹部と同じくらいの長さの場合もある。

和名は糸疣が長いことにより、英名のTwo-tailed spiderや long-spinnered spider もこれによる。また、英名ではTree trunk spiderも使われ、これは樹幹上に棲息することによる。

習性など[編集]

樹木の太い幹に歩脚を平らに広げ、頭を下にして張り付くようにして生息する。敵が接近すると樹皮を伝って側面に移動して逃れるが、安全な定着の位置を持っており、やがて元の位置に戻るとも言う[1]

また、地衣類の生えた岸壁に生息する例も知られる。クモはそのような背景に保護色となる体色をしており、じっとしていると目につかない。体色に関しては、背景に合わせて多少は変化するとの考えもある。

タマナガイボグモ属 Tama では、不規則な網目状の簡単な網を張り、その表面には砂粒などを取り付ける[2]とされるが、多くのものは網や巣を作らず、待ち伏せによって獲物を捕る。ただし詳細は諸説あり、獲物を飛び越えて糸の帯を投げかけ、それからその周りを回って糸をかけ、獲物を樹皮上に縛り付ける[3]とも、獲物が接近すると、急に接近し、その周囲を回りながら糸疣から糸を出して絡め、獲物に糸を絡めて捕らえる[4]とも、基盤上に貼り付けて捕らえる[5]とも、獲物に向かって糸を射出する[6](以上二つはナガイボグモ属 Hersilis)とも、あるいは長い糸疣の間に挟んで、回転しながら糸を吹きかける[7](以上はTama)などと記されている。

配偶行動に関してはよく分かっていない 卵嚢は扁平で樹皮に貼り付けられ、表面を粗い糸の層で覆う。その外見は樹皮上に着生した地衣類に似るという。

分類[編集]

糸疣が特別に長いことで、それ以外の全てのクモから簡単に区別できる。系統的にはヒラタグモ科に近いと考えられる。

熱帯域を中心に世界で7属150種が知られるが、日本からは次の1属2種のみが知られる。それ以外のものについてはナガイボグモ科の属種を参照されたい。なお、古い図鑑ではこれ以外の種も日本から記録されている[8]が、誤りらしい。

  • Hersilia ナガイボグモ属
    • H. okinawaensis オキナワナガイボグモ
    • H. yaeyamaensis ヤエヤマナガイボグモ

出典[編集]

  1. ^ 青木監訳(2011)p.58
  2. ^ 青木監訳(2011)p.59
  3. ^ 青木監訳(2011)p.58
  4. ^ 小野(2009),p.149
  5. ^ Astri & Leroy(2000),p.75
  6. ^ 新海(2006),p.88
  7. ^ Main(1976),p.129
  8. ^ 八木沼(1986),p.90

参考文献[編集]

  • 小野展嗣編著、『日本産クモ類』、(2009)、東海大学出版会
  • 新海栄一 『日本のクモ』 文一総合出版、2006年
  • 八木沼健夫 『原色日本クモ類図鑑』 保育社、1986年
  • 青木淳一監訳、『クモ・ダニ・サソリのなかま 知られざる動物の世界7』、(2011)、朝倉書店
  • Astri & John Leroy,2000,SPIDERWATCH in Southern Africa,Struik Publishers (Pty) Ltd,Cape Town
  • Barbara York Main,1976,THE AUSTRALIAN NATURALIST LIBRARY Spiders.Collins,SYDNEY/LONDON