チャゴス諸島
チャゴス諸島(チャゴスしょとう、Chagos Archipelago、オイル諸島 Oil Islands という旧名もある)は、インド洋にある諸島。イギリス領インド洋地域の一部である。モルディブの南1,600kmのところにあり、7つの環礁を中心とした60以上の島で構成されている。最大の島はディエゴガルシア島。インド西岸のラクシャディープ諸島からモルジブ諸島を経てチャゴス諸島へと至る海底山脈の一部を形成する。
歴史[編集]
モルディブでは古くからチャゴス諸島の存在は知られていたが、モルディブからは遠いことから人の居住はなされなかった。16世紀にポルトガルによって発見された後、18世紀から住民が定住し、1814年よりイギリス領となった。モーリシャスの管轄として統治されていたが、1965年にモーリシャスから分離された。1968年にモーリシャスが独立した後も、イギリス領として残されている。
20世紀半ばには住民は2,000人ほどとなっていたが、1967年から1971年にかけてモーリシャスへ移住させられている。1971年からはアメリカ合衆国との条約が締結され、ディエゴガルシア島に軍事基地が建設された。2007年現在では、ディエゴガルシア島以外の島は無人である。
モーリシャスは領有権を主張しており、現在も元島民が帰還を求め法廷闘争などを続けるなど、イギリスとの間で領有権争いが続いている。2019年2月25日には国際司法裁判所から「英国には、チャゴス諸島の統治を可能な限り迅速に終結させ、モーリシャスに自国領の非植民地化を完了させる義務がある」との勧告がなされ、モーリシャスの独立後もイギリスが統治し続けているのは違法であるとの判断が下された[1][2]。勧告に拘束力はないが、モーリシャスや元住民は勧告を歓迎し、イギリスは勧告に反論を行った[1]。5月22日、国連総会にてイギリスに対し「6カ月以内に諸島の植民地統治を終え、撤退する」よう求める決議が賛成116、反対6、棄権56で採択された[3]。2019年11月22日この決議にイギリス政府は「諸島の統治は正当なものである」と植民地統治と島からの撤退を拒否し引き続き支配している[4]。
主な環礁[編集]
- ブレナム礁
- ペロスバンホス
- サロモン諸島
- グレートチャゴスバンク
- エグモント諸島
- ディエゴガルシア島
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ^ a b “ICJ、英国にチャゴス諸島返還を勧告 米軍が基地に利用”. AFPBB News. フランス通信社. (2019年2月26日) 2019年3月1日閲覧。
- ^ “チャゴス諸島の英領編入は違法”. 共同通信社. (2019年2月26日) 2019年3月1日閲覧。
- ^ “インド洋の戦略的要塞 英に撤退求める国連決議が採択”. 産経新聞社. (2019年5月23日) 2019年6月9日閲覧。
- ^ “英、諸島撤退に応じず 国連が統治終結を要求”. 日本経済新聞. 2019年11月24日閲覧。