コンテンツにスキップ

ジオスゲニン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジオスゲニン
{{{画像alt2}}}
識別情報
CAS登録番号 512-04-9 チェック
PubChem 99474
ChemSpider 89870 チェック
UNII K49P2K8WLX チェック
EC番号 208-134-3
ChEBI
ChEMBL CHEMBL412437 チェック
特性
化学式 C27H42O3
モル質量 414.62 g mol−1
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ジオスゲニン(Diosgenin)はフィトステロイドであるサポゲニンの一つで、ヤマノイモ属ヤムイモシロギニアヤムなどの塊茎()から抽出されるサポニン強塩基、または酵素により加水分解することで得られる。ジオスシンなどのジオスゲニン配糖体(サポニン)から加水分解により得た非糖部分(アグリコン)であり、コルチゾンプレグネノロンプロゲステロンやさまざまなステロイド類縁体の商業的合成に利用される。

含有植物

[編集]

フクジンソウ(Costus speciosus)やシオデ属Smilax menispermoidea の他、ツクバネソウ属ソクシンラン属、トリゴネラ属、エンレイソウ属の植物に検出可能な量が含まれる他、ヤマノイモ属の植物には抽出可能な量が含まれる。例えば D. althaeoidescolletticomposita[1]floribundafutschauensisgracillimahispidahypoglaucamexicana[2]nipponica(ウチワドコロ)、panthaicaparvifloraseptemloba(キクバドコロ)、zingiberensisHelicteres isora(インディアン・スクリューツリー)などが知られる[3]

2020年代になって、三好規之らにより生合成遺伝子が取得され[4]、生合成遺伝子配列が決定された[5][6]

産業用途

[編集]

ジオスゲニンは、プロゲステロンの合成などマーカー分解を起点とするステロイドホルモン合成プロセスにおける前駆体となる[7]。この方法は、ごく初期の経口避妊薬の製造にも用いられた[8]。 また、ジオスゲニンは、サプリメントなどの健康食品にも多く利用され、2021年5月「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」に追加されている。近年、ジオスゲニンを機能性関与成分とした認知機能改善目的の機能性表示食品にも利用されている。

脚注

[編集]
  1. ^ "Dioscorea composita". Germplasm Resources Information Network (GRIN). Agricultural Research Service (ARS), United States Department of Agriculture (USDA).
  2. ^ "Dioscorea mexicana". Germplasm Resources Information Network (GRIN). Agricultural Research Service (ARS), United States Department of Agriculture (USDA).
  3. ^ 2950 Diosgenin”. 2007年5月29日閲覧。[リンク切れ]
  4. ^ 「機能性成分ジオスゲニンを高含有する自然薯新品種の創出」『JSTプロジェクトデータベース — 機能性成分ジオスゲニンを高含有する自然薯新品種の創出科学技術振興機構、2023年1月10日。
  5. ^ Keita Onoda, et al., "Biosynthetic Gene Expression and Tissue Distribution of Diosgenin in Dioscorea japonica", Journal of Agricultural and Food Chemistry, Vol.71, No.10, American Chemical Society, February 8, 2023, pp.4292-4297.
  6. ^ 「遺伝子解析により静岡産自然薯の生合成遺伝子配列を決定」『遺伝子解析により静岡産自然薯の生合成遺伝子配列を決定 | ニュース | 静岡県公立大学法人 静岡県立大学静岡県立大学、2023年3月16日。
  7. ^ “Sterols. CXII. Sapogenins. XLI. The Preparation of Trillin and its Conversion to Progesterone”. J. Am. Chem. Soc. 62 (12): 3349–3350. (1940). doi:10.1021/ja01869a023. 
  8. ^ Djerassi C (December 1992). “Steroid research at Syntex: "the pill" and cortisone”. Steroids 57 (12): 631–41. doi:10.1016/0039-128X(92)90016-3. PMID 1481227. 

外部リンク

[編集]