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関数
(青) の、二次関数
(赤)による近似。
シンプソンの公式(シンプソンのこうしき、英: Simpson's rule) とは、数値解析の分野における、数値積分の方法の一つである。定積分

の近似値を、関数
を二次関数で近似することによって得る。名前は、トーマス・シンプソンに因んでいる。次数2の閉じたニュートン・コーツの公式である。シンプソン則ともいう。
シンプソンの公式は、
を二次関数
で近似することによって導かれる。ここで、
は
の a, b, m における値をそれぞれとる[m は“中点”、すなわち a + b/2]。
は、ラグランジュ補間によって、次の多項式(
の二次式)になることが分かる。

この多項式を範囲 [a, b] で積分すると、次のシンプソンの公式が得られる。
![{\displaystyle \int _{a}^{b}f(x)\,dx\approx \int _{a}^{b}P(x)\,dx={\frac {b-a}{6}}\left[f(a)+4f\left({\frac {a+b}{2}}\right)+f(b)\right].}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/70f1d1ac9323e612913e66df8d1df6e2ae6085c6)
シンプソンの公式による、積分の近似の誤差は、a と b の間にある ξ によって、次式で見積もれる(h の5次式)。

ただし、h = (b − a)/2。さらに
が2回微分可能で
が凸関数であるとき、定積分は次の下限と上限とで抑えられる。
![{\displaystyle (b-a)f\left({\frac {a+b}{2}}\right)+{\frac {1}{3}}h^{3}f''\left({\frac {a+b}{2}}\right)\leq \int _{a}^{b}f(x)\,dx\leq {\frac {b-a}{6}}\left[f(a)+4f\left({\frac {a+b}{2}}\right)+f(b)\right].}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/4a8bc24391cc865d65b60be09e03c49f08912179)
合成シンプソン公式[編集]
シンプソンの公式は、積分範囲 [a, b] が十分小さい場合であれば適当な近似であることが分かる。したがって、積分範囲が大きい場合は、積分範囲を小さな部分区間に分割し、各部分区間についてシンプソンの公式を適用し、その結果を足し合わせるという方法が考えられる。この方法は、合成シンプソン公式 (composite Simpson's rule) として知られている。
![{\displaystyle \int _{a}^{b}f(x)\,dx\approx {\frac {h}{3}}{\bigg [}f(x_{0})+2\sum _{j=1}^{n/2-1}f(x_{2j})+4\sum _{j=1}^{n/2}f(x_{2j-1})+f(x_{n}){\bigg ]}.}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/99fcf73a6d88e45e86eef4e7f5aabf7b89c7a92a)
ただし、n は [a, b] を等しく偶数個に分割した部分区間の個数、h = b − a/n は各部分区間の長さ、
、特に、
。この式は、次のようにも書ける。
![{\displaystyle \int _{a}^{b}f(x)\,dx\approx {\frac {h}{3}}{\bigg [}f(x_{0})+4f(x_{1})+2f(x_{2})+4f(x_{3})+\dotsb +4f(x_{n-1})+f(x_{n}){\bigg ]}.}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/6e82df9c0e432470a7e63057a21a2f8945739c95)
合成シンプソン公式に基づく最大誤差は、次式で見積もることができる。

関連記事[編集]
参考文献[編集]
- Burden, Richard L. and Faires, J. Douglas (2000). Numerical Analysis, (7th Ed). Brooks/Cole. ISBN 0534382169
外部リンク[編集]