シャー・ペイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
シャー・ペイ
シャー・ペイ
別名 Cantonese Shar-Pei
原産地 中華人民共和国の旗 中国
特徴
体重 オス 35-65 lb (16-29 kg)
メス 40-55 lb (18-25 kg)
体高 18-22 in (46-56 cm)
外被 馬のコート、刷毛のコート、熊のコート
毛色 赤、赤子鹿、五点赤、黒、クロテン、黒銀クロテン、黒ブロンズクロテン、青、茶色、ライラック、クリーム、アプリコット、チョコレート、クリーム希釈、アプリコット希釈、チョコレート希釈、イザベラ(シルバーシェーディング、 薄い色の犬)、花のコート(黒または青のパッチ付きの白)
寿命 11-13 年
イヌ (Canis lupus familiaris)


シャー・ペイ: Chinese shar pei, Chinese fighting dog, : 沙皮狗)は、中国原産の犬種。古くから牧羊犬、番犬、闘犬、食用犬として飼育されてきた。現在ではもっぱら家庭犬または番犬[1]。「沙」という漢字には「砂」という意味があるが [2]、「沙皮」は「紙やすりのような皮膚」 「荒い砂のような被毛」に由来する[3]

沿革[編集]

原産地は中国南部。広東省を中心に飼育されていた[4]。祖先についてはっきりしたことは分かっていない。小島豊治はチベタン・マスティフが祖先ではないか、とする[5][1]。一方デズモンド・モリスは、ハン・ドッグの子孫ではないか、とする。ハン・ドッグが品種改良の結果、本種とチャウ・チャウに分岐したと考えられる[3][6]

古代犬種の系統樹

本種の荒い、針のような直毛と、しわの多い皮膚は闘犬としての優れた資質である(対戦相手に嚙みつかれても体をひねったり回転させたりして抜け出せる)。中国国内で闘犬として人気を博していたが、ヨーロッパから大型の闘犬が輸入されると本種はそれらに太刀打ちできず、人気は低落していった[3]。また、中国が共産主義を採用すると、過去の記録が処分されてしまったため本種の歴史をたどることは非常に困難なものとなった。共産党指導者らはペットとして犬を飼育するのは西洋の退廃した習慣とみなし、都市部周辺の一部地域を除いてほとんどの犬は殺処分されてしまった。それでも何頭かが香港・台湾で繁殖、絶滅を回避した。1968年、香港ケネルクラブにより犬種として認定される[7]

1978年版ギネスブックは、世界に60頭しかいない最も珍しい犬だと認定した。しかし、香港・マカオ・台湾のブリーダーたちの努力、ユニークな外見が米国のブリーダーたちに気に入られて数を増やしたことにより絶滅の危機を脱した[3]。1993年現在、アメリカン・ケンネル・クラブに登録された個体数は約19000頭である[4]

特徴[編集]

体高46 - 51cm、体重18 - 23kgの中型犬。仔犬の頃は皮膚のたるみが多い。成長するとたるみが減って独特のしわを持つようになる[4]。頭頂部に着く小さな三角形の耳は前方に垂れる。巻き尾。口吻は中くらいの長さで、眼から鼻先までは広く、先細りにならない。毛はザラザラとした硬いショートコートで、毛色は全身一色で、ブラック、レッド、明るいフォーン、クリームなど[1]

本種の皴は、真皮を形成する際に働く酵素の異常(突然変異による)が原因である。この事実は2008年、スペインのギョルダナ・ザナらの研究により明らかにされた。本種の個体の中には、この変異した遺伝子にもとづく皮膚病に罹患しやすいものもいる。この点は関係者(ブリーダー、ドッグショーの審査員、ケンネル・クラブなど)の間で問題視されている。性格に関して述べると、プライドが高いが心を許した人に対しては忠実で朗らか、愛情深い一面を見せる。[4]

派生犬種[編集]

シャー・ペイには2種類の派生犬種がある。どちらも愛玩用の犬種である。

アメリカ合衆国原産。その名の通りシャー・ペイを小型化した犬種。
同じくアメリカ合衆国原産。ミニチュア・シャー・ペイの健康状態を改良するために少々パグをかけ合わせて作出した犬種。

脚注[編集]

  1. ^ a b c 小島 2012, p. 124-125.
  2. ^ 白川静 『字通』平凡社、1996年10月14日、576頁。ISBN 4-582-12804-1 
  3. ^ a b c d モリス 2007, p. 296-297.
  4. ^ a b c d 藤田 2021, p. 128.
  5. ^ 古くは、70kgもある個体もいた
  6. ^ 本種とチャウ・チャウは、青い舌という共通点を持つ
  7. ^ アニマルプラネット.

参考文献[編集]

  • シャー・ペイ”. animal-planet.jp. アニマル・プラネット・ジャパン株式会社. 2005年8月30日閲覧。
  • デズモンド・モリス 著、池田奈々子, 岩井満理, 小林信美, 竹田幸可, 中條夕里, 靖子カイケンドール 訳 『1000種を越える犬たちが勢揃いした究極の研究書 デズモンド・モリスの犬種事典』福山英也, 大木卓(監修)、誠文堂新光社、2007年8月10日。ISBN 978-4-416-70729-6 
  • アメリカン・ケンネル・クラブ 著、株式会社DHC出版事業部 訳 『犬の事典』筒井敏彦, 高田進(監修)、株式会社DHC、1998年4月17日。ISBN 4-88724-038-4 
  • 小島豊治 『図鑑 世界の犬 純血212種』Collar出版、2012年10月1日。ISBN 978-4-9906379-0-3 
  • 藤田りか子 『原産国に受け継がれた犬種の姿形430種 増補改訂 最新世界の犬種大図鑑』誠文堂新光社、2021年1月20日。ISBN 978-4-416-52158-8 

関連項目[編集]