シナーラ (帆船)

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シナーラ(Cynara)は1927年に英国で建造された2本マストの木製の大型ヨット帆船である。リビエラ所有のプライベート船で、2015年にリビエラがレストア(本格修復)プロジェクトを立ち上げ、2020年レストア完了。優雅で美しい姿から「海の貴婦人」と呼ばれている。日本で唯一の現存する木造大型帆船であり、日本で唯一レストアされたクラシックヨット。

CYNARA(シナーラ)
基本情報
船種 ガフリグケッチ
所有者 リビエラ
建造所 Camper & Nicholsons造船所
母港 リビエラシーボニアマリーナ(神奈川県三浦市小網代湾)
経歴
就航 1927年4月
現況 レストア完了
要目
総トン数 73トン
全長 96フィート(29.26メートル)
全幅 18.7フィート(5.69メートル)
推進器 帆走
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概要[編集]

キャンパー・アンド・ニコルソンのチャールズ・ニコルソンが設計し、木材の吟味から10年以上の時を経て建造され、1927年4月にイギリスのサウザンプトン近辺で進水した[1]

画像中央が油壷湾、画像右上がシーボニアマリーナ。

何人ものオーナーの手を渡り、地中海でチャーターヨットとして活躍していた頃、シーボニアマリーナ(神奈川県三浦市油壷)を手中に収めた西武マリーナ旗艦としてシナーラを入手。1973年1月27日にイギリスのリミントンから出港し、大西洋カリブ海パナマ運河太平洋を横断し、195日後の8月10日に三浦市の三崎港に入港した[2]

来日後は西武グループの広告塔として北海道から沖縄県まで日本各地の港を訪れ[2]、その後はシーボニアマリーナを母港として、クルージング事業や船上ウエディング、パーティー会場、時にはテレビのロケや雑誌の撮影に利用され続けた[2]バブル崩壊とともに2001年に西武グループが解体されると、リビエラが事業継承した際に本船も所有することとなった[1]

経年劣化などから、リビエラは2015年2月に修復プロジェクトを立ち上げ、2017年1月にシナーラを海から上架して修復作業を開始[1]。日本へのレストア技術伝承を目的に世界11ヵ国から船大工を招聘してレストア作業を進め[3]、2020年にレストアを完了した。

建造当時のチーク材を92%残したレストア事業は、2021年4月15日にイギリスの「Classic Boat Awards 2021」にて帆船レストア・オブ・ザ・イヤーを受賞した[4]

脚注[編集]

  1. ^ a b c CYNARA”. リビエラグループ. 2020年7月20日閲覧。
  2. ^ a b c History | Cynara.jp”. cynara.jp. 2020年7月20日閲覧。
  3. ^ 「シナーラ」修復プロジェクト”. リビエラ. 2020年7月20日閲覧。
  4. ^ Classic Boat Awards Winners” (英語). awards.classicboat.co.uk. 2021年12月1日閲覧。

外部リンク[編集]