こと座ベータ星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
シェリアクから転送)
移動先: 案内検索
こと座β星[1]
Beta Lyrae
星座 こと座
視等級 (V) 3.42[1]
3.25 - 4.36(変光)[2]
変光星型 こと座β型変光星(EB)[2]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α) 18h 50m 04.79525s[1]
赤緯 (Dec, δ) +33° 21′ 45.6100″[1]
赤方偏移 0.000007[1]
視線速度 (Rv) 2.20 km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: 1.90 ミリ秒/年[1]
赤緯: -3.53 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 3.39 ± 0.17 ミリ秒[1]
距離 961.65 ± 50.77光年[注 1]
(294.99 ± 15.57パーセク)[注 1]
絶対等級 (MV) -3.929[注 2]
物理的性質
スペクトル分類 B8II-IIIep [1]
色指数 (B-V) 0.00[3]
色指数 (U-B) -0.56[3]
別名称
別名称
こと座10番星[1]
BD +33 3223[1]
FK5 705[1], HD 174638[1]
HIP 92420[1], HR 7106[1]
SAO 67451-2[1]
■Project ■Template

こと座β星(ことざベータせい、 Beta Lyrae、β Lyr)は、こと座の恒星で3等星。

物理的性質[編集]

  連星系のデータ
半径 19R 15R
質量 2M 12M
光度 2,500L 230L
表面温度 13,000 K 8,000 K


この星は、青白色の巨星と準巨星からなる連星である。2つの星は非常に近い位置にあり、お互いの星が重力で引き合うことによって、星の形が楕円に引き伸ばされている。

この連星系には3つめの星が存在する。45.7秒離れて見え、双眼鏡で容易に分離することができる。スペクトル分類はB7Vで、眼視等級は7.2。光度は太陽の80倍。4.34日の周期を持つ分光連星である。

また、さらに別の伴星β星Fも存在し、86秒離れて見える。眼視等級は9.9等級で、光度は太陽の7倍あると考えられている。

こと座β型変光星[編集]

近接連星の公転によって生ずる変光を光度曲線とともに示す。

こと座β型変光星は、食変光星の一種であり、その呼称はこの星に由来している。このタイプの変光星では、星が楕円形に引き伸ばされているため、アルゴル型食変光星のように急激な変光が起こることはなく、徐々に変光していく。また、回転周期にあわせて、規則的に変光することも特徴である。星が近接しているため、一方の光球からガスがもう一方に流れ込む。

こと座β星はこのタイプの変光星の典型例であり、およそ300km/sで、高熱のガスなどが流れ込んでいる。物質の流出により、大きいほうの星は質量を失っていく。こと座β星の場合、1万3000Kの星が、8000Kの星の周りを回っていると考えられている。

こと座β星の変光は、暗い場所であれば、肉眼で容易に見つけることができるため、1784年に、イギリス人のアマチュア天文家のジョン・グッドリックにより変光星として発見された。アルゴルと違い、近接していて分離が難しいため、変光原因の解明は容易ではなかった。

こと座β星は、約12.9日の周期で、+3.25等級から+4.36等級の間で変光する[2]。2つの星が非常に近接しているため、光学望遠鏡では分離することはできない。

電波星[編集]

伴星からガスが流入する様子を表した図。降着円盤が形成され、電磁波が放射されている。

こと座β星は、アメリカ国立電波天文台のR. M. Hjellming と C. M. Wadeによって、1971年に電波星であることが分かった。星の間での物質移動が原因であると考えられる [4] [5]

連星系の一方から流出したガスは、主星の周りに降着円盤を形成している。降着円盤にたまったガスはやがて主星へと落ち、その時に電磁波が放射される。電磁波は、降着円盤の回転面に対して90度で放射されている [6]。A型星である伴星は、太陽質量の3倍程度で、ロッシュ・ローブを満たしており、ガスを主星に奪われている。伴星は毎年、太陽質量の 2×105 倍の質量を失い続けている。B型星の主星は、太陽質量の13倍程度である[7]


名称[編集]

固有名シェリアクの由来は、アラビア語الشلياقSheliak)で、亀、または琴を意味する。琴はもともと亀の甲羅に弦を張って作ったことから。こと座γ星も、同じく亀を意味する。ギリシャ神話の琴の名手、オルペウスの竪琴にちなんだものである。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算(誤差も同様)、光年はパーセク×3.26より計算。各有効桁小数第2位
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。有効桁小数第3位

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r SIMBAD Astronomical Database”. Results for bet Lyr. 2015年10月6日閲覧。
  2. ^ a b c GCVS”. Results for bet Lyr. 2015年10月6日閲覧。
  3. ^ a b 輝星星表第5版
  4. ^ http://seds.org/~spider/Spider/Vars/betaLyr.html
  5. ^ SHELIAK (Beta Lyrae)
  6. ^ http://grammai.org/jhoffman/betlyr/
  7. ^ http://www.astro.virginia.edu/~dam3ma/benews/volume36/abs36/hec0.html

外部リンク[編集]