コモリザメ

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コモリザメ
生息年代: 112–0 Ma
Albian to Present[1]
Nurse shark.jpg
保全状況評価[2]
DATA DEFICIENT
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status none DD.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
: 軟骨魚綱 Chondrichthyes
: テンジクザメ目 Orectolobiformes
: コモリザメ科 Ginglymostomatidae
: コモリザメ属 Ginglymostoma
Müller & Henle, 1837
: コモリザメ G. cirratum
学名
Ginglymostoma cirratum
(Bonnaterre1788)
英名
Nurse shark
Ginglymostoma cirratum distmap.png
分布(青い部分)

コモリザメ Ginglymostoma cirratumテンジクザメ目に属するサメの一種。コモリザメ属 Ginglymostoma単型である。

分類[編集]

属名はギリシャ語の γίγγλυμος(ginglymos、蝶番)・στόμα(stoma、口)に由来する。種小名 cirratum もギリシャ語由来で、meaning curl or swim. 姉妹群はオオテンジクザメだと考えられ、タンビコモリザメジンベエザメトラフザメと近縁である[3]

分布[編集]

熱帯から亜熱帯大陸棚の海底に生息し、1mより浅い水域から、水深130mまで見られる[2]。主な生息環境はサンゴ礁マングローブの周辺・砂底など。西部大西洋のロードアイランド州からブラジル南部(カリブ海諸島部を含む)、東部大西洋のカメルーンからガボン(おそらくその北側のアフリカ沿岸も)、東部太平洋のバハカリフォルニア南部からペルーに分布する[4]

形態[編集]

全長3m程度で、最大で430cmの報告がある。頭部は丸く、口は眼よりかなり前方に位置する。鼻孔には1対の髭がある。噴水孔は小さい。背鰭は大きく丸みを帯び、第一背鰭は第二背鰭・臀鰭より大きい。尾鰭は長く、全長の1/4に達する。体色は黄褐色から灰褐色[5]

生態[編集]

夜行性で、日中は小さな群れを作って不活発な状態にある。休息場所は岩棚の下や岩の隙間で、毎日特定の場所に戻ってくる。夜間は単独で泳ぎまわり、海底の堆積物中から餌を探す[6]

休息時には胸鰭で体を持ち上げた姿勢を取ることがあり、これは岩陰と間違えて寄ってくる小動物を捕食することを狙ったものではないかと考えられている[4]

餌は主に甲殻類頭足類ウニなど。吸い込むようにして捕食する。キューバの青年の島での調査では、小型のイセエビを主要な餌とすることが報告されている。フロリダでの胃内容物の調査では、主な獲物は魚類、特にイサキ科で、獲物の大きさは7-22cmの範囲に収まっていた[6]

幼体は水深1-3mの浅瀬で岩の下などに隠れていることが多いが、少し成長するとマングローブや浅い岩礁域を泳ぎ回るようになる。成体になると深場に移動し、夜間は浅場に上がってきて摂餌する。また、6月頃には繁殖のために、成体も水深1mほどの浅瀬で見られるようになる[6]

幼体がイタチザメレモンザメなどに捕食されることはあるが、成体には人間を除いて天敵はほとんどいないと考えられる[6]

繁殖[編集]

交尾は6月半ばから7月初めに行われる。卵胎生で、胎児は12-14週の間は卵鞘に包まれている。5-6ヶ月の妊娠期間の後に出産する。産仔数は21-50(平均34)で出生時の大きさは30cmほど。次の出産までには2年間かかる。雌は223-231cm、雄は214cm程度で性成熟する[6]。寿命は最大25年ほど[5]

人との関連[編集]

商業的に広く漁獲される種ではないが、動きが遅いためによく地域漁業の標的とされる。皮膚は非常に丈夫で革製品としての価値がある。肉は生、塩漬けなどで販売され、肝油も利用される。釣りの対象とはならない。不用意に接触すると攻撃を受ける可能性がある。幼体はアクアリウムでの飼育目的に取引されることがあるが、数mに成長するため家庭で飼育するには大きすぎる[7]

東部太平洋・東部大西洋での生息状況が不明であるため、IUCNは種全体としての保全状況は情報不足としている。米国とバハマの個体群は軽度懸念とされているが、南米の個体群は危急種とされており、中米・カリブ海の個体群も同様の状況にあると見られる。これらを総合して、西部大西洋の個体群は準絶滅危惧とされている。特にリオデジャネイロ周辺では絶滅している可能性がある[2]

画像[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Sepkoski, Jack (2002). “A compendium of fossil marine animal genera (Chondrichthyes entry)”. Bulletins of American Paleontology 364: 560. http://strata.ummp.lsa.umich.edu/jack/showgenera.php?taxon=575&rank=class 2008年1月9日閲覧。. 
  2. ^ a b c Rosa et al. (2006年). "Ginglymostoma cirratum". IUCN Red List of Threatened Species. Version 2014.2. International Union for Conservation of Nature. 
  3. ^ Goto, T. (2001). “Comparative Anatomy, Phylogeny and Cladistic Classification of the Order Orectolobiformes (Chondrichthyes, Elasmobranchii)”. Memoirs of the Graduate School of Fisheries Science, Hokkaido University 48 (1): 1–101. http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/handle/2115/22014. 
  4. ^ a b Leonard J. V. Compagno (1984). Sharks of the World: An annotated and illustrated catalogue of shark species known to date. Food and Agriculture Organization of the United Nations. pp. 205–207, 555–61, 588. http://www.fao.org/docrep/009/x9293e/x9293e00.htm. 
  5. ^ a b Froese, Rainer, and Daniel Pauly, eds. (2005). "Ginglymostoma cirratum" in FishBase. November 2005 version.
  6. ^ a b c d e Castro, José I. (2000). “The biology of the nurse shark, Ginglymostoma cirratum, off the Florida east coast and the Bahama Islands”. Environmental Biology of Fishes 58 (1): 1-22. doi:10.1023/A:1007698017645. 
  7. ^ Michael, Scott W. (2004年3月). “Sharks at Home”. Aquarium Fish Magazine: pp. 20–29 

参考文献[編集]

外部リンク[編集]