グリース・トラップ
グリース・トラップ(英語: grease trap、GT)とは、食用油や食物の脂肪などの油脂や、残飯や下処理の際の食品の屑などが、直接下水道に流入しないようにするために、排水口と下水道との間に設置される場合がある阻集器の1種である。主に、大量の食材を扱う施設の排水設備の1つとして設置される。また、片仮名表記では、グリーストラップ、グリストラップなどの表記揺れが見られるものの、本稿では記事名と同じ、グリース・トラップの表記に統一する。ほかにも、油水分離槽・油水分離桝・油脂分離槽などの呼び方がある[1]。なお、下水管から悪臭が立ち昇ってくる事態を防ぐ装置である排水トラップとは異なる。グリース・トラップ内部には次第に油脂などが溜まってくるため、その機能を保つためには定期的な清掃が必要である。
語源に関して
[編集]この設備は主に、grease(油脂[2])のような水よりも比重の軽い排水への混入物に対して効果を発揮する、trap(不要物除去装置[3])である。
装置
[編集]設置の目的は下水道施設の負担軽減と公共用水域の水質保全が挙げられる[4]。

グリース・トラップは、油脂だけを取り除く装置とは限らない。まず、排水口からの排水を、粗い網目のカゴに通して、排水に混じった大きなゴミを除去する装置が挿入される場合がある。その後に排水を一時的に滞留させ、水よりも比重の軽い油脂のような物が上面に浮かんでくるのを除去、下水道へと排出する。グリース・トラップには次第にゴミや油脂が溜まってくるため、定期的な清掃が必要である。
配置
[編集]グリース・トラップは、厨房内などの屋内に設置する場合と、屋外に設置する場合がある。屋外型の場合は、隙間から雨水が入り込まないように、適切な蓋をしておく必要がある。なお、屋外型の場合には、野生動物が残飯をあさる場所にならないかの注意も必要である。
日本の法律
[編集]下水道法の「排水基準値」を満たすために、グリース・トラップが役立つ可能性がある[5]。また水質汚濁防止法では、大規模な飲食店などでは、事実上、グリース・トラップのような「油水分離」のための装置の設置が求められる。
その一方で、一般家屋などには設置義務はない。
事故
[編集]2023年8月14日に、広島市の安佐南区の市立保育園で、同園に勤務する正規調理員の57歳の女性が、深さ約1 mのグリース・トラップに転落して、死亡した。死因は溺死であった。1人で清掃していた最中に、何らかの原因で頭から転落したと見られる。通りかかった保育士が発見して事故が発覚した。同園に設置されていたグリース・トラップの開口部は60 cm x 30 cmで、事故当時の水深は不明だが、事故の翌日に確認した際は35 cm程度だった[6][7]。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ “油水分離槽 – 株式会社オーイケ 環境インフラ事業部”. オーイケ. 2024年11月5日閲覧。
- ^ ジーニアス英和辞典(改訂版)p.794、大修館書店(1994年発行)ISBN 4-469-04109-2
- ^ ジーニアス英和辞典(改訂版)p.1914、大修館書店(1994年発行)ISBN 4-469-04109-2
- ^ “油水分離桝(ゆすいぶんります)とは? | 株式会社イトーヨーギョー”. イトーヨーギョー. 2024年11月5日閲覧。
- ^ “飲食店等の排水規制について” (PDF). 千葉県印旛地域振興事務所(地域環境保全課). 千葉県. p. 3. 2023年12月1日閲覧。
- ^ 「保育園で女性調理員(57)死亡 給食室からの油・野菜くず等が下水道に流れるのを防ぐ「グリストラップ」の清掃中か 頭から転落した状態で発見 広島」『RCC NEWS - 広島ニュース (2023年8月15日15時12分)』RCC中国放送、2023年8月15日。2023年12月1日閲覧。
- ^ 「保育園の排水設備「グリストラップ」に女性調理員が頭から転落、死亡」『読売新聞 (2023年8月16日10時19分)』読売新聞、2023年8月16日。2023年12月1日閲覧。