グリプトドン

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グリプトドン
生息年代: 新生代第四紀更新世, 2.5–0.01 Ma
グリプトドン
グリプトドンの全身骨格
地質時代
新生代第四紀更新世 - 
(250万~1万年前)
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 被甲目 Cingulata
: Chlamyphoridae科 Chlamyphoridae
亜科 : グリプトドン亜科 Glyptodontinae
: グリプトドン属 Glyptodon
学名
Glyptodon
Owen1839
  • G. clavipes模式種
  • G. elongatus
  • G. euphractus
  • G. munizi
  • G. petaliferus
  • G. reticulatus
  • G. rivapacis

グリプトドンGlyptodon)とは、新生代第四紀更新世に南アメリカ大陸で最も繁栄した異節上目(かつての貧歯目)被甲目の1属。現生アルマジロのいくつかの種を含むChlamyphoridae科に含まれる[1]

学名の意味は「彫刻された」で、和名も「彫歯獣(ちょうしじゅう)」と言う。多くの学名に用いられる「ドン(δων)」は歯を意味するギリシャ語である。

2015年アルゼンチンカルロススペガスシニで甲羅の化石が見つかった[2]

進化[編集]

グリプトドンの系統は早くも始新世に出現し、新生代を通じて生存した。初期のものは小型で、中新世のものでも全長1mから1.5m程度であったが、更新世に入ると巨大となり、3m以上の種も現われた。一般にグリプトドンとして知られるものはいずれも更新世の産である。一部は北アメリカの南部にも分布を広げた。

特徴[編集]

グリプトドン甲の骨皮

全長は約3mと巨大で、背中には小さなの板が集まってできた甲羅のようなドーム状の装甲板を背負っていた。この装甲板にカメのように手足を引っ込めて身を守ったとみられている。初期のものは装甲板の骨の結合がゆるく、体をアルマジロのように丸めて防衛の体勢を取れたが、後期のものは装甲板の可動性が失われ、丸くなることはできなかった。尾の部分もリング状の骨製装甲板で覆われていた。歯は生涯を通じて伸び続けたと考えられている。

頭蓋骨
想像図

同科に属するドエディクルスは全長4mと更に大きく、グリプトドンに比べて長い尾の先端には、中世の武器であるモーニングスターを思わせるトゲ付きの骨塊を持つ。捕食者に対してはこれを使って積極的な防衛手段をとっていたと考えられている。

絶滅の原因[編集]

グリプトドンを狩ろうとしている当時の人間を描いた絵

背中の硬い甲羅を戦士にするために人間に狩られたのが原因とする説が有力だが諸説あり、はっきりとはしていない。

脚注[編集]

  1. ^ Gibb, Gillian C.; Condamine, Fabien L.; Kuch, Melanie; Enk, Jacob; Moraes-Barros, Nadia; Superina, Mariella; Poinar, Hendrik N.; Delsuc, Frédéric (2016-3). “Shotgun Mitogenomics Provides a Reference Phylogenetic Framework and Timescale for Living Xenarthrans”. Molecular Biology and Evolution 33 (3): 621–642. doi:10.1093/molbev/msv250. ISSN 0737-4038. PMC 4760074. PMID 26556496. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4760074/. 
  2. ^ 巨大「アルマジロ」の甲羅化石、アルゼンチンで見つかる

関連項目[編集]

外部リンク[編集]