クチキクシヒゲムシ

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クチキクシヒゲムシ
クチキクシヒゲムシ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: コウチュウ目(鞘翅目) Coleoptera
亜目 : カブトムシ亜目 Polyphaga
上科 : ナガフナガタムシ上科 Dascilloidea
: クシヒゲムシ科 Rhipiceridae
: Sandalus
: クチキクシヒゲムシ S. segnis
学名
Sandalus segnis Lewis

クチキクシヒゲムシ Sandalus segnisクシヒゲムシ科昆虫の1つ。

特長[編集]

触角、口枝、腹部、爪等は赤褐色で、上翅は普通は褐色で、それ以外の部分は黒い[1]。ただし雄では上翅が黒色の型のものがあり、体色に2型がある[2]。体長は10-21mm[2]。頭部は胸部に密着して、表面に多数の点刻が皺状にある。頭部の中央付近はやや平らになり、両側の触角の起点の上がやや高まる。前胸背は頭部より細かな点刻が密布されており、淡黄色の長い毛が密生しており、側面ではその縁の後端少し前に1つの歯状の突起がある。上翅は浅く粗大な点刻が皺状に並び、弱く隆起した線が数本あり、表面には毛が密生している。触角は短く、その第3節より先の節では前方に片状の突起があるが、雌ではこれが短い。

なお、形態には地域変異もあり、四国、九州では上翅の隆起が強く点刻も荒く、触角の櫛状があまり発達せず、これに対して北日本では上翅の隆起も点刻も弱く、触角の櫛状が発達するものが多い[2]

分布など[編集]

北海道本州四国九州から知られる。6-7月に見られ、立木の幹に静止しているのを見られることが多い[2]。生活史等については知られていない。

分類など[編集]

同属のものとしては日本では以下の2種が知られている[2]

  • S. kani:アマミクチキクシヒゲムシ・奄美大島
  • S. takizawai:ヤエヤマクチキクシヒゲムシ・石垣島

いずれも本種によく似たもので、いずれも南西諸島から知られている。本科のものとしては日本ではこの属しか知られておらず、従って本科の昆虫で日本本土で見られるのは本種のみである。

出典[編集]

  1. ^ 以下、主として中根他(1963),p.157
  2. ^ a b c d e 黒沢他編著(1985)p.38

参考文献[編集]

  • 中根猛彦他、『原色昆虫大圖鑑 〔第2巻〕』、(1963)、北隆館
  • 黒沢良彦他編著、『原色日本甲虫図鑑(III)』、(1985)、保育社