キルヒホッフの法則 (反応熱)

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キルヒホッフの法則(キルヒホッフのほうそく)とは、グスタフ・キルヒホフによる、熱化学において反応熱の温度係数が反応前後の熱容量の差に等しいという法則である。

定圧変化に対して、定圧熱容量の変化ΔCP は以下のように表される。

\Delta C_P = \left(\frac{\partial \Delta H}{\partial T}\right)_P

ここで、ΔH は反応によるエンタルピーの変化、T温度P圧力である。

これを積分すると、反応熱は以下の式から求めることができる。ここでT0 は基準温度であり、通常はT0 = 25 ℃ = 298.15 Kである。

\Delta H(T) = \Delta H(T_0) + \int_{T_0}^T \Delta C_P \mathrm{d}T

温度範囲が広くなく、熱容量ΔCP が温度によらない場合は以下のように表される。

\Delta H(T) - \Delta H(T_0) = \Delta C_P(T-T_0)

計算例[編集]

アセチレンの燃焼

C2H2 + (5/2) O2 → 2 CO2 + H2O

を考える。アセチレン1molに対し、二酸化炭素2mol、1molが生成する。ΔH (T0) = -1256.8 kJ/molである。

定圧熱容量CP は温度に対し線型に変化し、CP = a + b T と表せると仮定する。さらに系外に熱は出ていかないとみなすと、

\Delta H(T_0) + \int_{T_0}^T \Delta C_P \mathrm{d}T = 0

となるから、

\frac{b}{2}T^2 + aT + c = 0, \quad c = \Delta H(T_0) - \frac{b}{2}T_0^2 - aT_0
\therefore T = \frac{-a+\sqrt{D}}{b}, \quad D = a^2-2bc

を得る。したがって、係数a , b が分かれば燃焼熱が計算できる。

ここで係数は下記の表から、CP = 2CP(CO2(g)) + CP(H2O(g)) の関係を用いて求める。実際に計算すると、

a = 2×a(CO2(g)) + a(H2O(g)) = 82.36 JK-1mol-1
b = 2×b(CO2(g)) + b(H2O(g)) = 0.09661 JK-2mol-1
c = ΔH(T0) - (b/2)T02 - aT0 = -1285691 Jmol-1
√D = 505.18 JK-1mol-1

より、

T = 4377 K ≒ 4100℃

つまりアセチレンの炎は約4100℃であると分かる。

気体の熱容量の温度依存性[編集]

CP = a + b T の場合

物質 a/JK-1mol-1 b/10-3JK-2mol-1
O2(g) 25.72 12.98
H2O(g) 30.36 9.61
CO2(g) 26.00 43.5