カルタミン
カルタミン[1] | |
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(2Z,6S)-6-β-D-Glucopyranosyl -2-[ [(3S) -3-β-D-glucopyranosyl-2,3,4-trihydroxy -5-[(2E)-3-(4-hydroxyphenyl) -1-oxo-2-propenyl] -6-oxo-1,4-cyclohexadien-1-yl]methylene] -5,6-dihydroxy -4-[(2E)-3-(4-hydroxyphenyl) -1-oxo-2-propenyl] -4-cyclohexene-1,3-dione | |
別称 カルテミン カルサミン ベニバナ色素 | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 36338-96-2 |
PubChem | 11968069 |
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特性 | |
化学式 | C43H42O22 |
モル質量 | 910.78 g/mol |
精密質量 | 910.216773 |
外観 | 赤色の粉末 |
水への溶解度 | 難溶 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
カルタミン(carthamin)は、ベニバナから採られる紅色の色素である。染料や食品用着色料として使用される。
概要
[編集]水に溶けにくい配糖体型色素。二つのカルコンで構成されており、共役結合により紅色を発色する。ベニバナに含まれる色素は大半が水溶性の黄色色素サフロールイエローであり、カルタミンは1%程である。伝統的手法では、ベニバナの花弁を水洗いして黄色色素を抜き、発色を良くするため発酵させて「紅餅」と呼ばれる状態にする[2]。
歴史
[編集]カルタミンが利用されてきた歴史は古く、紀元前25世紀には古代エジプトでミイラの着衣からベニバナが染料として使用された記録が残っている[3]。以来、ヨーロッパ諸国で絨毯用羊毛の染色や、日本で芸者や歌舞伎役者の化粧用の「紅」として使われてきた[4][5]。 1859年に合成染料のフクシンが開発されてからは、絹の染色ではこれと競合するようになった[6]。
1929年に黒田チカが構造式を発表したが、1974年になってこの構造は互変異性体であるイソカルタミンであることが山形大学工学部応用化学科の小原平太郎、小野寺準一、佐藤慎吾により確認され、翌1975年に小原らにより新たな構造式が発表された[7]。また,絶対構造は1996年に佐藤慎吾らによりカルタミンの配糖体をメチル基に置き換えたモデル化合物を合成することによりCDスペクトルとX線構造解析を用いて決定された。
生合成
[編集]カルタミンの生合成はまず、1分子のカルコン(2,4,6,4'-テトラヒドロキシカルコン)と2分子のグルコースからサフロールイエローAが作られ、さらに1分子のグルコースが付加しサフロールイエローBとなる。次に、プレカルタミンが形成され、最後にカルタミンへと変換される[8]。
脚注
[編集]- ^ Merck Index, 11th Edition, 1876.
- ^ 紅花の歴史文化館(山形大学附属図書館)
- ^ 紅花の歴史文化館(山形大学附属図書館)
- ^ Carthamus tinctorius (Safflower), a commercially viable dye for textiles. Vankar, Padma S.; Tiwari, Vandana; Shanker, Rakhi; Shivani. Asian Dyer (2004), 1(4), 25-27.
- ^ Morse, Anne Nishimura, et al. MFA Highlights: Arts of Japan. Boston: Museum of Fine Arts Publications, 2008. p161.
- ^ Chevreul, M. E. (July 1860). "Note sur les étoffes de soie teintes avec la fuchsine, et réflexions sur le commerce des étoffes de couleur." Répertoire de Pharmacie, tome XVII, p. 62. Retrieved on 2007-09-25.
- ^ 小原平太郎、小野寺準一、阿部敏:カルタミンの化学構造について、天然有機化合物討論会講演要旨集(19) pp.380-385 19751001、天然有機化合物討論会
- ^ Man-Ho Cho, Young-Sook Paik and Tae-Ryong Hahn (2000). “Enzymatic Conversion of Precarthamin to Carthamin by a Purified Enzyme from the Yellow Petals of Safflower”. J. Agric. Food Chem. 48 (9): 3917–3921. doi:10.1021/jf9911038. PMID 10995291.