エボナイト
エボナイト(英語: ebonite)は、ゴムの一形態である。光沢をもった硬質な素材で、外観がコクタン(英語: ebony)に似ていることからエボナイトと呼ばれる。開発者はチャールズ・グッドイヤーであり、生ゴムを長時間加硫して硬化させたものである。含硫率は30 % - 40 %に及ぶ[1]。
この大量の加硫時に厚いものほど暴走的に高熱を発生させ体積が大幅に増大(パンク)して金型が破裂する危険があること、逆に反応終了後は大きく体積を減じる(純エボナイトなら約6%)ので、大きいものは型に入れて製品を作ると取り出しにくくなったりあばた状のくぼみが生じるため、機械的性質を低下させにくいエボナイト自身の粉末(すでに反応済み)を加えて体積の減少を抑え、また反応時の発熱も減少させる加工がおこなわれる[2]。
エボナイトは耐酸性、耐アルカリ性に優れ、また、機械的強度が高い。二種結合が飽和しているので耐候性・耐老性はゴムとしては高い[3]が、それでも紫外線や湿気による表面の艶落ちや変色といった経年劣化がある[4][5]。
ボウリングの球[6]や、万年筆の軸・インク供給部フィード、サクソフォーン、クラリネットといった楽器のマウスピースや喫煙用パイプの吸い口に用いられている。 これ以外にゴムと金属の接着能力に長けており、銅や鉛など一部を例外としてエボナイトが金属とよくくっつくためエボナイトを境において軟質ゴムと金属を複合させた素材に使用される。絶縁性も極めて高く、かつては電材として絶縁体に用いられていたが、軟質ゴムと違ってほかの物質を添加することによる補強で品質向上などがほとんどできず変わりばえがしないこと、加硫に時間がかかり(さらに反応を誤ると前述の「パンク」につながる)製品化の手離れが悪く、耐薬品・耐電圧でさらに優れた高分子素材ができたこと、接着用途では熱に弱いことと軟質ゴムを変性(硫黄分が軟質ゴム側に移って過加硫にさせる)などの理由で、接着用途では普通の接着剤に変わられ、ゴム全体のエボナイトの生産高は大正8年(西暦1919年)の9.84%をピークに下がり昭和53年(同1978年)には0.13%にまで落ちている[7]
黒い色の製品が多いが、マーブル柄などの色エボナイトも存在する[8]。見た目や質感はいわゆるプラスチック(合成樹脂)に似ているが、あくまでゴムの一種であり、天然樹脂に分類されるものである。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ↑ “生ゴムに橋を架けて作られるエボナイト”. masahiro万年筆製作所. 2024年10月4日閲覧。
- ↑ (高田1982p.283・285)p.283
- ↑ (高田1982)p.283
- ↑ “特許「ラッカナイト」 万年筆の品質向上から生まれた蒔絵万年筆”. パイロットコーポレーション. 2024年10月4日閲覧。
- ↑ “曇り現象”. masahiro万年筆製作所. 2024年10月4日閲覧。
- ↑ 戦後ボウリングがブームになった際に、エボナイトの消費量が一時的にだが上昇に転じたこともある(高田1982 p.290)。
- ↑ (高田1982)p.283-284・290
- ↑ “エボナイトの種類”. masahiro万年筆製作所. 2024年10月4日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 株式会社日興エボナイト製造所 - エボナイト素材製造メーカー
- masahiro万年筆製作所 - 総エボナイト製万年筆・エボナイト製品加工専門
メーカー
- 高田重作「エボナイト」『日本ゴム協会誌』第55巻第5号、一般社団法人 日本ゴム協会、1982年、281-290頁、doi:10.2324/gomu.55.281、ISSN 0029-022X。