ウシマンボウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
ウシマンボウ
Bump head sunfish.jpg
ウシマンボウとダイバー
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: フグ目 Tetraodontiformes
: マンボウ科 Molidae
: マンボウ属 Mola
: ウシマンボウ M. alexandrini
学名
Mola alexandrini (Ranzani, 1839)[1][2]
シノニム

Orthragoriscus alexandrini Ranzani, 1839[1]
Orthragoriscus ramsayi Giglioli, 1883[1]
Mola ramsayi (Giglioli, 1883)[1]

和名
ウシマンボウ
英名
Bump-head sunfish[1]
体高3.5mのウシマンボウの標本。右下はマンボウの標本。(アクアワールド・大洗展示)

ウシマンボウ(Mola alexandrini )[1][2]は、条鰭綱フグ目マンボウ科マンボウ属に分類される魚類。

分類[編集]

以前のマンボウ属は、形態からマンボウと南半球のみに分布するゴウシュウマンボウM. ramsayiの2種から構成されると考えられていた[3]。2009年に日本近海の標本も多く含めた世界中のマンボウ属の標本122頭のミトコンドリアDNAのD-loop領域の分子系統解析から、マンボウ属は少なくとも3種に分かれるという解析結果が得られ、本種はその中のgroup A(Mora sp. A)とされていた[4]。日本近海で主に見られるものはgroup B(Mola sp. B)だったが、group Aの個体も捕獲されていた[4][3]。一方でこれらの分子系統解析の結果と用いられた標本の形態比較が並行して行われておらず、2009年の段階ではMola sp. Aに対応する学名は不明で更なる研究・比較検討が必要とされていた[3]。2010年にはM. sp. Aの標準和名を「ウシマンボウ」とすることが提唱された[3]。2017年に文献や標本の調査からMola alexandriniの模式標本の再発見・Mora sp. AがM. alexandriniと同一であること・ゴウシュウマンボウM. ramsayiがより先に記載されたM. alexandriniのシノニムとなることが判明し、本種の学名をM. alexandriniとする説が提唱された[1]

分布[編集]

模式産地はアドリア海[1]

極圏をのぞく世界中の海に分布する。マンボウよりも暖かい海域を好むとされる[5]。日本では北海道以南に分布する[6]

形態[編集]

最大全長272センチメートル(鴨川沿岸産。最大体重の個体と同一)[1]。最大体重2,300キログラム[1]。より大型化する可能性もあり、網地島沖で捕獲された全長332センチメートルのマンボウ類は本種であるという可能性も指摘されている[1]。体高は全長の56-63%になり、マンボウよりやや[6]。高い頭部や顎は隆起する[1]。鱗は長方形[1]。舵鰭条数14 - 24[1]。骨板数8 - 15[1]。マンボウでは舵鰭の後縁に凹凸がみられるが、本種ではそれが見られない[2]

体は全体が灰白色である。胸鰭より腹側の側面と、腹面はより淡い色になり、不規則な淡灰色の模様がみられる個体もいる。各鰭も淡灰色である[6]

生態[編集]

水深0 - 600 mでみられる[6]。本種は大量のクラゲを捕食する。クラゲは栄養価に乏しいものの、個体数が非常に多く容易に捕食できる。本種は他にクモヒトデや小魚、プランクトン藻類サルパ(尾索動物の一種)、軟体動物なども捕食する[7]。海面近くに横たわって日光浴をする姿がみられ、これには餌を求めて冷たい深海へ潜った後に体を暖めるため、体に酸素を供給するため、あるいはカモメを呼んで寄生虫を取り除いてもらうため、といった理由があると考えられている[7]

人間との関係[編集]

日本の東北地方では夏に定置網によって漁獲される[6]

出典[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o Etsuro Sawai, Yusuke Yamanoue, Marianne Nyegaard, Yoichi Sakai, "Redescription of the bump-head sunfish Mola alexandrini (Ranzani 1839), senior synonym of Mola ramsayi (Giglioli 1883), with designation of a neotype for Mola mola (Linnaeus 1758) (Tetraodontiformes: Molidae)," Ichthyological Research, Volume 65, Issue 1, 2018, Pages 142-160
  2. ^ a b c 『小学館の図鑑Z 日本魚類館』中坊徹次 監修、小学館、2018年、485頁。ISBN 9784092083110
  3. ^ a b c d 山野上祐介・馬渕浩司・澤井悦郎・坂井陽一・橋本博明・西田睦 「マルチプレックスPCR 法を用いた日本産マンボウ属2種のミトコンドリアDNAの簡易識別法」 『魚類学雑誌』 57巻 1号、日本魚類学会、2010年、27-34頁。
  4. ^ a b Yukiko Yoshita, Yusuke Yamanoue, Kotaro Sagara, Kenji Gushima, Hisato Kuniyoshi, Tetsuya Umino, Yoichi Sakai, Hiroaki Hashimoto, Kenji Gushima, "Phylogenetic relationship of two Mola sunfishes (Tetraodontiformes: Molidae) occurring around the coast of Japan, with notes on their geographical distribution and morphological characteristics," Ichthyological Research, Volume 56, 2009, Pages 232-244.
  5. ^ Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2019). "Mola alexandrini" in FishBase. May 2020 version.
  6. ^ a b c d e 松浦啓一『日本産フグ類図鑑』東海大学出版部、2017年、95頁。ISBN 9784486021278
  7. ^ a b Appeltans, W., Bouchet, P., Boxshall, G.A., Fauchald, K., Gordon, D.P., Hoeksema, B.W., Poore, G.C.B., van Soest, R.W.M., Stöhr, S., Walter, T.C., Costello, M.J. (eds.) (2010) World Register of Marine Species (WoRMS)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]