インコアナナス属

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インコアナナス属
インコアナナス
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
階級なし : ツユクサ類 commelinids
: イネ目 Poales
: パイナップル科 Bromeliaceae
: インコアナナス属 Vriesea
学名
Vriesea
和名
インコアナナス

インコアナナス属 Vriesea は、パイナップル科植物の1属。多くの種を含み、多くの観賞用に栽培される種がある。

特徴[編集]

は伸びず、ロゼット状に出す[1]。葉は弓状に曲がって伸び、質は硬いものが多いが軟質の葉を持つものもある。いずれにせよその縁は滑らかで棘は出ない。また葉の束の基部は短い筒状となっている。

花茎があるものが多く、それは直立するか弓状に伸びて、先端に穂状花序をつける。花序は単独に生じる場合と、分枝して数本が出る場合がある。個々の花序には花が2列性に規則的に並ぶ例が多いが、より多くの列になって円錐状になる例もある。苞はやや硬い多肉質で、緑色のものもあるが赤や黄色に色づく例が多い。片は3個で、苞に隠れてほとんど見えない。花弁は3個で、黄色、緑の色が多いが白くなる例も少数だがある。花弁の内側の基部に小さな蜜鱗片があり、これが本属の特徴となっている。おしべは6本で、花弁より抜き出る。子房は下位。果実は蒴果で、種子はごく小さくて多数、個々の種子の基部には長い毛が束になって生えている。

学名はオランダアムステルダムの植物学教授であったフリース(W. H. de Vriese 1807-1862)にちなむ。和名は上掲の通りだが学名仮名読みのフリーセアも園芸方面では特によく用いられる。

分布と生育状況[編集]

中央アメリカから南アメリカ西インド諸島にかけて分布する[2]

着生植物が多いが、岩の上に生えるものもあり、一部には地上に出るものもある。また湿った暖かい場所を好むものが多い[3]

分類[編集]

約250種が知られる。代表的なものを以下に挙げる[4]

  • Vriesea インコアナナス属
  • V. barilletii
  • V. ×brasilia
  • V. carinata インコアナナス
  • V. corcovadensis
  • V. drepanocarpa
  • V. erythrodactylon
  • V. fenestralis
  • V. gigantea
  • V. guttata
  • V. hieroglyphica
  • V. imperialis ミカドアナナス
  • V. jonghii
  • V. malzinei
  • V. ×mariae
  • V. ×nana
  • V. philippocoburgii
  • V. pltynema
  • V. platzmannii
  • V. ×poelmannii オオインコアナナス
  • V. psittacina
  • V. racinae
  • V. roddigasiana
  • V. ×rubra
  • V. saudersii
  • V. scalaris
  • V. schwackeana
  • V. splendens トラフアナナス

利用[編集]

花が美しく、観賞用に栽培されるものが多い。特にインコアナナス、オオインコアナナスは花序の形と色が目立ち、広く知られている。

出典[編集]

  1. ^ 以下、主として園芸植物大事典(1994),p.2083
  2. ^ 園芸植物大事典(1994),p.2083
  3. ^ ホルスト(1997),p.215
  4. ^ 園芸植物大事典(1994),p.2083-2086.

参考文献[編集]

  • ブルース・ホルスト、「インコアナナス」:『朝日百科 植物の世界 10』、(1997)、朝日新聞社:p.215-216.
  • 『園芸植物大事典 2』、(1994)、小学館