イデル=ウラル

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沿ヴォルガ連邦管区内のイデル=ウラルの範囲。
1. バシコルトスタン共和国
2. チュヴァシ共和国
4. マリ・エル共和国
5. モルドヴィア共和国
12. タタールスタン共和国
13. ウドムルト共和国

イデル=ウラルタタール語: Идел-Урал, ラテン表記: İdel-Ural, ロシア語: Идель-Урал)とは東ヨーロッパの歴史的地域の名のひとつ。現在のロシアの一部で、ヨーロッパ・ロシア東部のテュルク系民族の多く住む地をあらわす。イデルとはタタール語ヴォルガ川、ウラルはウラル山脈のことを指す。ロシア語の「ヴォルゴ=ウラリエ」(Volgo-Uralye, Волго-Уралье)という語も使われる。

イデル=ウラルという語は、ヴォルガ川両岸からウラル山脈にかけて広がる六つの民族共和国バシコルトスタン共和国(テュルク系バシキール人)、チュヴァシ共和国(テュルク系チュヴァシ人)、マリ・エル共和国(フィン・ウゴル系マリ人)、モルドヴィア共和国(フィン・ウゴル系モルドヴィン人)、タタールスタン共和国(テュルク系タタール人)、ウドムルト共和国(フィン・ウゴル系ウドムルト人)を指すときにしばしば使用される。特にタタール語文学ではその傾向が強い。

16世紀にこれらの地をロシア・ツァーリ国が征服するまでは、ハザールヴォルガ・ブルガールジョチ・ウルスカザン・ハン国などの遊牧国家が成立していた。ロシア革命後のロシア内戦期には、タタール人の独立を求めてイデル=ウラル国が成立していた。

イデル=ウラルはヴォルガ地方(ポヴォーロジエ、Пово́лжье, Povolzhye)に含まれる。行政的には沿ヴォルガ連邦管区に入っている。