イソシアン酸メチル

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イソシアン酸メチル
構造式
IUPAC名イソシアン酸メチル
メチルイソシアナート
イソシアナトメタン
別名メチルカルビルアミン
MIC
分子式C2H3NO
分子量57.05
CAS登録番号624-83-9
形状無色液体
密度0.96 g/cm3, 液体
融点−80 °C
沸点39 °C
出典ICSC

イソシアン酸メチル(イソシアンさんメチル、methyl isocyanate)は化学式 C2H3NO で表される、最も構造が単純なイソシアネートであり、各原子は H3C−N=C=O のようにつながっている。イソシアナトメタン、メチルカルビルアミン、 MIC とも呼ばれる。イソシアン酸のメチルエステルとして1888年に発見された。

用途[編集]

カルバリルカルボフランメソミルアルジカルブといったカルバメート農薬の合成中間体である。ゴム接着剤の生産にも使われる。

危険性[編集]

非常に毒性が高く、0.4 ppm 程度を吸引、経口摂取、または接触した場合、咳、胸部疾患、呼吸困難喘息などの症状があらわれ、あるいは眼・鼻・喉・皮膚に損傷を受ける。21 ppm 以上の高濃度にさらされた場合、数時間後に肺水腫肺気腫、肺出血、気管支炎などが起こる可能性があり、死に至る場合もある。イソシアン酸メチルのにおいが感じられるのは許容濃度の3倍以上からである。

1984年12月にインドで発生したボパール化学工場事故では、約4万キログラム (kg, 40トン (t))のイソシアン酸メチルが住宅街に流出し、15,000人以上が死亡した。ソニーエナジー・デバイスの当時の社名「ソニーエバレディ」変更の契機ともなった。

外部リンク[編集]