アンタエウスオオクワガタ

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アンタエウスオオクワガタ
Insect Safari - beetle 57.jpg
アンタエウスオオクワガタ
アルケスツヤクワガタ(原歯型)の右、ダイオウヒラタクワガタ(中央右から3番目)の後の種)
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: コウチュウ目 Coleoptera
亜目 : カブトムシ亜目 Polyphaga
上科 : コガネムシ上科 Scarabaeoidea
: クワガタムシ科
Lucanidae
: オオクワガタ属
Dorcus
亜属 : オオクワガタ亜属
Dorcus
: アンタエウスオオクワガタ
D. antaeus
学名
Dorcus antaeus
Hope, 1842
和名
アンタエウスオオクワガタ
ミナミオオクワガタ

アンタエウスオオクワガタ (Dorcus antaeus) は、コウチュウ目クワガタムシ科オオクワガタ属オオクワガタ亜属の1である。 そのたくましい姿から、ギリシャ神話の巨人「アンタイオス」に由来する名前がつけられた。


形態[編集]

体長は雄が33.8〜89.0mm、飼育下93.2mm(2014年)  雌が31.0〜48.0mm

オオクワガタの仲間で最も重厚な体型をしていて、大型であり、体の横幅が広く、厚みがある。 オスの大アゴは特に太く、湾曲し、体色は光沢のある黒色である。

他のオオクワガタに見られるような大アゴのつけ根の近くの突起(眼上突起)は目立たず、メスの上翅には縦のスジがない。大アゴのつけ根の裏側にはオレンジ色の毛束がある。

分布[編集]

インド北部、ネパールブータンシッキムミャンマー中国南部、タイ北部、ラオスベトナム北部、マレー半島

熱帯地方に住むことから、和名でミナミオオクワガタと呼ばれていた。

生態[編集]

熱帯から亜熱帯の、標高,1000メートル以上の広葉樹の森林地帯に生息し、生息数は少ない。 日本よりも南方の地域に分布しているが、主として標高が高く冷涼な気候帯に分布する。特に、ヒマラヤでは標高2,000メートル以上の地域にも生息している。また、主として季節的な気温の変動が少ない低緯度地域に分布する。

成虫は、広葉樹の樹液をとしている。夜行性であり、外灯などにも飛来する。分布域における季節的な気温の変動が少ないため、活動期は日本のオオクワガタよりも長い。

オスは樹液が出る大木のなどを縄張りにしている。メスはオスの縄張りや産卵場所を求めて飛び歩き、広葉樹の太い倒木や立枯れの地中部に産卵する。成虫での寿命は2-3年である。

産卵から約1ヵ月ほどで孵化した幼虫は、地上から地下までの広葉樹の朽木の中で生活し、その朽木を食べて育つ。他のオオクワガタ類より、湿度が高く、より腐朽が進んだ朽木を好む。幼虫期間は生育場所や気温条件によって幅があり、半年-2年である。

終令幼虫は、になるために、蛹室(ようしつ)を作り始めて、約1ヵ月かけて蛹となる。 蛹は約1ヵ月ほど経過してから羽化し、成虫となる。羽化した成虫は、すぐには活動せず、約2ヵ月ほど経過してから、蛹室を出て活動を開始する。

多くの生息地でクルビデンスオオクワガタと混生している。 個体数はクルビデンスオオクワガタより多く、幼虫はより湿度の高い朽木を好む。 近年、日本への輸出のため、現地の人々が収入源としてクワガタ捕獲していて、大木を切り倒していることが社会問題となり、環境への影響が心配された時期があった 。

分類[編集]

アンタエウスオオクワガタは長らく1種として扱われてきたが、 2010年12月20日発行の「世界のクワガタムシ大図鑑」により3つの亜種に整理された。 3亜種の中で、マレー半島の個体群は分布が飛んでおり、また比較的区別しやすいとされるが その他の地域では変異は連続的であり、分布の境界線も明確ではない。 加えて小型のオスや特にメスの区別は簡単なものではない。

Dorcus antaeus antaeus (原名亜種)    分布:インド北東部・ブータン・シッキム・ミャンマー西部あたり

  体長:オス35.0〜89.0mm 飼育下93.2mm(2014年) ・メス34.0〜48.0mm

  特徴:3亜種の中で最も大きくなり、オス体は他の亜種に比べて体はやや細長く、光沢が強い。 また、大あごの湾曲が弱く、大型個体では内歯はより前方に突出し、斜め前方を向く。

Dorcus antaeus miyashitai   分布:ミャンマー東部・タイ北部・ラオス北部・ベトナム北部・中国雲南省南部・(海南島?)

  体長:オス33.8〜87.1mm  飼育下85.0mm(2003年) ・メス33.0〜47.0mm

  特徴:原名亜種に比べてオスの体と大あごは太短く、光沢はやや鈍い。 大型個体では大あごの内歯が側方に突出する。

Dorcus antaeus datei   分布:マレー半島・ベトナム南部

  体長:オス35.0〜80.0mm 飼育下83.2mm(2015年) ・メス31.0〜46.0mm

  2特徴:3亜種中最も小型で、オスの大あごは太短く湾曲が強い。 また、大あごの先端部と内歯はより鋭く突出して、前胸背板の前方がより広い。

参考文献[編集]

  • 世界のオオクワガタ大特集」『ビー・クワ』2005年秋号 (No. 16)、むし社。
  • 「世界のドルクス大特集」『ビー・クワ』2006年夏号 (No. 20)、むし社。

藤田宏.世界のクワガタムシ大図鑑.むし社(2010年12月20日発行)

外部リンク[編集]