コンテンツにスキップ

アムールハリネズミ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アムールハリネズミ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 真無盲腸目 Eulipotyphla
: ハリネズミ科 Erinaceidae
: ハリネズミ属 Erinaceus
: アムールハリネズミ
E. amurensis
学名
Erinaceus amurensis
Schrenk, 1859[1]
和名
アムールハリネズミ[2]
英名
Amur hedgehog[1]
Manchurian hedgehog[3]
分布域

アムールハリネズミErinaceus amurensis)は、東アジアから北東アジアに生息するハリネズミの一種。別名マンシュウハリネズミ[3]

分布

[編集]

東アジアから北東アジアに分布する[4]。日本の一部地域に外来種として定着している[5]

形態

[編集]

頭胴長239-286mm、尾長25-40mm、体重468-920g[2]。近縁のナミハリネズミと姿が非常に似ており、頭骨の形態から識別する必要がある[5]

生態

[編集]

日本では畑、果樹園、公園といった環境に生息する[2]。日本の個体の行動圏は1.8-1.9haという調査結果もある[6]。昆虫、クモ、陸生巻貝、ネズミ類、カエル類、爬虫類、鳥類の卵などを食べる[4]。一般的に3-6頭の子どもを出産する[2]

外来種問題

[編集]

神奈川県小田原市静岡県伊東市に定着しており、小田原市では1987年に生息が確認されている[7]。伊東市の伊豆高原では1995年から2003年のあいだに約130頭が捕獲されている[8]。また、栃木県岩手県長野県富山県でも目撃や捕獲例がある[4]。ペットとして飼われていたものが捨てられたり、逃げ出したりして野生化したと考えられる[5]

日本でも更新世の堆積物からハリネズミの化石が見つかっていることから、昔は日本にもハリネズミが生息していたものと推測され、したがって日本にハリネズミが定着することはそれほど難しくはない[8]

分布が拡大した場合、昆虫や陸生巻貝を捕食することで生態系に悪影響を与えるおそれがある[5]

本種を含めたハリネズミ属に分類される全4種は、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」によって特定外来生物に指定されており、販売や飼育はできない[5]

参考文献

[編集]
  1. ^ a b c Cassola, F. 2016. Erinaceus amurensis (errata version published in 2017). The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T40604A115174360. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2016-3.RLTS.T40604A22325640.en. Accessed on 02 April 2022.
  2. ^ a b c d 阿部永・石井信夫・伊藤徹魯・金子之史・前田喜四雄・三浦慎悟・米田政明『日本の哺乳類 改訂版』東海大学出版会、2005年7月20日。ISBN 4-486-01690-4 
  3. ^ a b D.W.マクドナルド編・今泉吉典監修「食虫目・貧歯目・翼手目・有袋目全種名リスト」『動物大百科 6 有袋類ほか』、平凡社、1986年、156-176頁。
  4. ^ a b c ハリネズミ属 国立環境研究所 侵入生物DB
  5. ^ a b c d e 多紀保彦(監修) 財団法人自然環境研究センター(編著)『決定版 日本の外来生物』平凡社、2008年4月21日。ISBN 978-4-582-54241-7 
  6. ^ S. D. Ohdachi, Y. Ishibashi, M. A. Iwasa, and T. Saitoh (2009-07). The Wild Mammals of Japan. Shoukadoh. ISBN 978-4-87974-626-9 
  7. ^ 市川窓三・中村一恵「神奈川県におけるハリネズミの野生化」『神奈川県自然誌資料』第11号、神奈川県立博物館、1990年、79–80頁。
  8. ^ a b 鈴木欣司『日本外来哺乳類フィールド図鑑』旺文社、2005年7月20日。ISBN 4-01-071867-6 

外部リンク

[編集]