ADEAC

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ADEAC(アデアック、英語: A System of Digitalization and Exhibition for Archive Collections)は、日本のデジタルアーカイブ構築システムである。TRC-ADEAC株式会社がシステムの構築及び運営を行っている[1]:324[2]:68

概要[編集]

東京大学史料編纂所社会連携研究部門に在籍していた石川徹也大日本印刷丸善雄松堂書店・コンテンツ株式会社・図書館流通センターの5社によって、自治体史本文検索引用された資料の画像を閲覧を可能にするシステムの開発について、2010年度より3年間の研究が行われた。2012年10月にはこの研究成果を事業化する目的でTRC-ADEAC株式会社が設立され[1]:3242013年3年から運営を続けている[3]:163。その後図書館博物館等での活用に対応し、自治体史等以外にも対応可能とする改修が行われた[1]:325

図書館や博物館といった資料を保有している機関はADEACを共同利用し、資料をデジタル化した上でコンテンツを公開する。運営するTRC-ADEAC株式会社はデジタル化・公開の過程で収益を得るというビジネスモデルを持っている[1]:3242022年7月時点では135機関が利用している[3]:163

連携[編集]

2018年3月より国立国会図書館サーチ[注釈 1][1]:3252019年2月よりジャパンサーチ、同年8月よりEBSCO Discovery Serviceへ、週ごとにOAI-PMHを用いメタデータを送付しており、それらからADEACで提供されているコンテンツを検索することが可能となっている[2]:69

課題[編集]

2022年5月の時点で、ADEAC上に構築されているデジタルアーカイブのうち、「コンテンツの印刷およびダウンロードは制限あり」としている機関が145機関中82機関(約57.9パーセント)となっていた。このような制限が存在する場合、資料の教育活用において大きな障害となってしまい、アーカイブされた資料の活用が阻害されるという問題が挙げられる[4]:e28。そのような制限を課している機関の中には教育へのデジタルアーカイブ活用を望んでいる機関も存在している。酒田市立図書館の光丘文庫デジタルアーカイブにおいて2018年の公開時には印刷及びダウンロードに制限が存在したが、後に問題点が認識され二次利用条件の見直しが行われた[4]:e28-e29

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 連携そのものは2017年4月より行われていた[1]:325

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f 田山 健二「ADEACの取り組み」『デジタルアーカイブ学会誌』第2巻、第4号、324-329頁、2018年。doi:10.24506/JSDA.2.4_324ISSN 2432-9770 , Wikidata Q123491481
  2. ^ a b 石川徹也「デジタルアーカイブシステムADEACに期待される効果と課題」『情報知識学会誌』第30巻、第1号、68-73頁、2020年。doi:10.2964/JSIK_2020_006ISSN 0917-1436 , Wikidata Q124536930
  3. ^ a b 田山健二「持続可能性という観点でADEACを考える」『デジタルアーカイブ学会誌』第6巻、第4号、163-166頁、2022年。doi:10.24506/JSDA.6.4_163ISSN 2432-9770 , Wikidata Q124545646
  4. ^ a b 大井将生; 渡邉英徳「デジタルアーカイブ資料の活用を促進する二次利用条件のあり方」『デジタルアーカイブ学会誌』第7巻、第3号、e24-e32頁、2022年10月17日。doi:10.24506/JSDA.7.3_E24ISSN 2432-9770 , Wikidata Q124545188

関連項目[編集]

外部リンク[編集]