黒部ルート
黒部ルート(くろべルート)は、黒部峡谷鉄道本線欅平駅から関西電力黒部川第四発電所を経て黒部ダムに至る、関西電力の物資輸送ルートの総称。
構成
[編集]駅 | 標高 | 交通手段 | 名称 | 距離 | 自治体 |
---|---|---|---|---|---|
宇奈月駅 | 224m | トロッコ列車 | 黒部峡谷鉄道本線(黒部峡谷鉄道) | 20.1km | 黒部市 |
欅平駅 | 600m | ||||
工事用トロッコ電車 | 下部軌道(関西電力) | 0.5km | |||
欅平下部駅 | 600m | ||||
エレベーター | 竪坑エレベーター(関西電力) | 0.2km | |||
欅平上部駅 | 800m | ||||
トロッコ列車 | 上部専用鉄道(関西電力) | 6.5km | |||
仙人谷駅 | |||||
黒部川第四発電所前駅 | 869m | ||||
インクライン下部駅 | インクライン | インクライン(関西電力) | 0.815km | ||
インクライン上部駅 | 1,325m | ||||
作廊谷駅 | バス | 黒部トンネル内専用バス(関西電力) | 10.3km | ||
黒部ダム駅 | 1,470m | 立山町 | |||
立山黒部アルペンルートに接続(信濃大町方面:関電トンネル電気バス/立山方面:徒歩経由で黒部ケーブルカー黒部湖駅) |
なお軌間は、黒部峡谷鉄道本線及び関西電力のトロッコ列車が762mm、インクラインが2000mmとなっている。またインクラインは単線式や循環式が多いが、黒部ルートのインクラインは一般的な旅客用ケーブルカーと同じ交走式で、客室キャビンが着脱式になっており、客室キャビンを取り外すと巨大な荷台が現れて大きな貨物の輸送ができるようになっている。
黒部ルート見学会と一般開放・旅行商品化
[編集]黒部ルートは原則として関西電力関係者以外は通行できないが、関西電力が主催し富山県が協賛する「黒部ルート見学会」に応募し、当選すれば通行することが可能となっていた[1]。
見学会は公募の形で1996年[2]から実施されており、平日限定で無料だったが、富山県と関西電力が協議し、2018年10月17日に「黒部ルートの一般開放・旅行商品化に関する協定」を締結した[2][3][4]。この協定により、一般開放と有料化に加え2019年以降の見学会と一般開放後は、平日だけでなく土曜・休日も受け入れることになった[5]。また、関西電力が2023年度末までに安全対策工事[6]を終え、同年度で見学会の公募を終了すると共に、富山県と提携する旅行会社が2024年度から6月から10月までの期間内に原則として8000人、気象面などの条件が整った年には最大1万人を受け入れる計画となっている[2][4]。
なお、観光ルートとしての名称は2021年に富山県が行った公募により、2022年9月に「黒部宇奈月キャニオンルート」と決定した[7]。また2023年10月の富山県側の会見では、料金は基本コースで1人当たり13万円程度(1泊2日でホテル立山の宿泊を含む)で、キャニオンルートの旅行商品の販売開始は2024年1月29日となる見通しを示していた[8]が、2024年1月に発生した能登半島地震で黒部峡谷鉄道の一部が被災した影響で、ツアーの開始は翌年以降に延期された[9]。
この黒部ルートのうち上部軌道の仙人谷から黒部トンネルを経て黒部ダムまでの区間は、大町ルートの旧大町有料道路及び関電トンネル(大町トンネル)と共に黒四関連施設の建設工事のために開通したもの。大町ルートは立山黒部アルペンルートの一部として一般開放されている。
黒部峡谷パノラマ展望ツアー
[編集]北陸新幹線開業後の新たな観光資源として、2015年から「トロッコ電車と関電竪坑エレベーターで行く 黒部峡谷パノラマ展望ツアー!」を富山県、黒部市、関西電力、黒部峡谷鉄道、黒部・宇奈月観光局が共同で実施している[10]。前述の黒部ルート(キャニオンルート)見学会とは異なり、黒部峡谷鉄道本線と黒部ルートの欅平上部駅を往復するツアーとなっている[10]。ツアーの詳細は、黒部峡谷パノラマ展望ツアー公式サイトを参照。
なお、黒部峡谷パノラマ展望ツアーは黒部ルート見学会とは以下の点でも異なっている。
- 参加費が有料で旅行商品として販売されていること(2019年度は6000円、販売は三重交通観光販売システムズに委託)
- 5月から11月までの金曜・土曜・日曜・月曜に開催(お盆などの特定期間を除く)。1日当たり4回実施
- 黒部川第四発電所などの見学や欅平駅から黒部ダムへの通り抜け(その逆も同じ)ができないこと
- ツアー参加地が宇奈月駅発着のみであること
脚注
[編集]- ^ “あすから関電黒部ルート公募見学会 11月まで38回”. 北陸新幹線で行こう!北陸・信越観光ナビ(北日本新聞). (2019年5月22日) 2019年6月7日閲覧。
- ^ a b c “黒部ルートの一般開放へ 24年度に、富山県と関西電力が協定”. 日本経済新聞. (2018年10月17日) 2019年6月7日閲覧。
- ^ 『黒部ルートに関する協定の締結について』(プレスリリース)関西電力・富山県、2018年10月17日 。2019年6月7日閲覧。
- ^ a b “「黒部ルート」2024年に一般開放へ 関電の物資輸送路が観光ルートに”. 乗りものニュース. (2018年10月17日) 2019年6月7日閲覧。
- ^ 『黒部ルート見学会の一般開放・旅行商品化プロジェクトについて』(プレスリリース)富山県、2017年10月11日 。2023年11月14日閲覧。
- ^ 内容は、上部軌道及び黒部トンネルのモルタルやロックボルトによる壁面の補強、避難経路の整備、上部軌道車両の安全対策を強化した車両への更新など[1]。
- ^ “黒部ルートの新名称は「黒部宇奈月キャニオンルート」に決定”. NHK NEWS WEB (日本放送協会). (2022年9月25日) 2022年9月27日閲覧。
- ^ 『黒部宇奈月キャニオンルート 基本コース料金13万円程度に』(プレスリリース)北日本放送、2023年10月30日 。2023年11月14日閲覧。
- ^ トロッコ電車、本年度の全線開通断念 - 共同通信 2024年5月27日
- ^ a b “トロッコで行く黒部峡谷、電源開発の歴史を体感”. 日本経済新聞. (2015年6月15日) 2019年7月20日閲覧。
外部リンク
[編集]- 黒部ルート見学会のご案内(2020年度アーカイブ) - 関西電力
- 黒部ルート見学会(2020年度アーカイブ) - 富山県観光・交通振興局観光振興室