蟻族
蟻族(ありぞく)とは、中華人民共和国における、2000年代後半以降急増している、大卒でありながら良い給料の職に就けない若年者層のことである。「蟻族」ということばは、対外経貿大学副教授の廉思とその研究グループが2009年に刊行した『蚁族-大学毕业生聚居村实录』で使用したのがはじまりとされる(邦訳は勉誠出版刊『蟻族』)。
概要
蟻族の若者は、北京などの大都市の郊外の村落(例えば唐家嶺村)で暮らしている。住居はいわゆるシェアハウスを行う。環境は決してよくないが、ルームメイトと共同で広めの一軒を借りるので見栄えはよい。
蟻族の若者たちは給料の良い職に就くことが出来ず、地方からの出稼ぎ労働者である民工の人間たちと職を奪い合っている。月収は日本円にして13000円から26000円程度である。
このような若者たちが大量に生まれた原因は、21世紀に入って以降私立大学が急増し、大卒者が増大したことと、2008年以降の世界同時不況によるものである。
2009年現在の中国の雇用情勢は「大氷河期」とも形容されており、この問題の解決は容易ではないとされる[1]。
しかし、蟻族の人間が何故故郷に戻らないかと言うと、都市生活のほうが魅力的である(低収入とはいえ農村地帯の数倍の賃金である)ということと、「いつか一花咲かせる」というのが理由のようだ[2]。
脚注
関連書籍
蟻族 高学歴ワーキングプアたちの群れ 勉誠出版、2010