虚栄の市

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。EmausBot (会話 | 投稿記録) による 2011年12月23日 (金) 12:03個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (r2.6.4) (ロボットによる 変更: it:La fiera della vanità)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

サッカレー自身が描いた表紙絵。サッカレーは当初挿絵画家を目指していた

虚栄の市』(きょえいのいち、原題:Vanity Fair)とはサッカレーの長編小説である。1847年1月から翌年7月まで雑誌に分冊の形で発表された。副題「主人公のいない小説」(A Novel without a Hero)。

19世紀初頭のロンドンを舞台に、上流社会に生きる人々を諧謔と諷刺に富んだ文章で描き痛烈に批判。作者自身の挿絵が挿入され、また作者自身が作中に登場するといった手法がとられている。中心となる登場人物が欠けて全体的にまとまりがなく説教臭い面もあるが、ナポレオン戦争を背景とした物語の展開は妙があり、作者の出世作となった。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


あらすじ

生れの卑しいレベッカ・シャープと上流階級に生まれたアミーリア・セドリーは女学校を去り、セドリー家へ向かう。そこでレベッカはアミーリアの兄・ジョーゼフと出会い結婚することを望むが、ジョーゼフの愚かな振る舞いを見て家を出る。そしてレベッカはクローリー家の家庭教師になりピット卿の好意を獲得すると、秘密のうちにクローリー家の次男であるロードンと結婚した。これに資産家である伯母のクローリーは怒り、ロードンを廃嫡する。

アミーリアは父が破産し、恋仲である幼馴染のジョージ・オズボーンとの結婚が取り消しになりそうになる。だがジョージは密かにアミーリアに恋している親友のウィリアム・ドビンに説得されて、ジョージの父親の猛烈な反対にもかかわらずアミーリアと結婚する。

一方社会はナポレオン戦争に向かって動いていた。

主な登場人物

レベッカ・シャープ
画家の子。持ち前の才気で上流社会への進出を目指す。
アミーリア・セドリ
レベッカの学友。心優しい性格で非常に繊細な心の持ち主。
ジョーゼフ・セドリ
アミーリアの兄。東インド会社に勤める。
ジョージ・オズボーン
アミーリアの幼馴染で許婚。陸軍中尉。
ウィリアム・ドビン
ジョージの親友。陸軍大尉。密かにアミーリアに恋をしている。

邦訳

  • 平田禿木訳『虚栄の市』(国民文庫刊行会、1914年)
  • 三宅幾三郎訳『虚栄の市』(岩波文庫、全6巻、1940年)
  • 中島賢二訳『虚栄の市』(岩波文庫、全4巻、2004年)

映像化

この作品は何度も映画やドラマとして映像化されていて、最初のものは1911年のサイレント短編である。以下、主な作品を記す。

外部リンク