線香花火

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線香花火

線香花火(せんこうはなび)は、日本の伝統的な花火の種類。免許の不要なおもちゃ花火に分類される手持ち花火である。線香花火の名の由来は、江戸時代香炉線香のように立てて遊んだことからとされる。

すぼ手と長手

基本構造には「すぼ手(スボ手)」と「長手」とがある。「すぼ手」は西日本に、「長手」は東日本に多い。

すぼ手は、竹ひごでできた柄の先に、黒色火薬がむき出しに付着している。使うときは先を上げる。長手は和紙こうぞ紙)のこよりの先に、黒色火薬が包み込まれている。使うときは先を下げる。すぼ手は関西、長手は関東で一般的である。元々、最初にすぼ手が江戸で作られ、それが上方に上がって現在まで定着した。一方、江戸では藁が手に入りにくかったため、すぼ手が販売されてから数年後に藁の代わりに和紙を使った長手が作られ、今に至る。

火薬

黒色火薬は硝石硫黄から作るが、線香花火の火薬には、本来は、炭として松煙麻炭を使う。松煙は、切り株から作られる油煙である。近年は入手が困難で、代用品を使うものが多い。火薬の使用量は0.06~0.08グラムである。火花を生むための特別な薬品は添加されていない。

生産

ほとんどは中国製である。

使用

線香花火の使用の段階は4段階に分けられ名前がついている。

  1. 牡丹。先に「玉」ができる。
  2. 松葉。玉が激しく火花を発する。
  3. 。火花が低調になる。
  4. 散り。消える直前。

玉は、溶融した硫黄や各種不純物が表面張力で球状になったものである。玉は落ちやすく、落ちてしまったら終わりなので、極力動かしてはならない。主に男の子の遊び方として、消えるまで玉を落とさずにいられるかを競うことがある。

季語

花火に関する多くの言葉同様、季語である。