篠田桃紅
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篠田 桃紅(しのだ とうこう、本名:篠田満洲子、大正2年(1913年)3月28日 - )は、日本の美術家。映画監督の篠田正浩は従弟にあたる。
旧満洲国大連に生まれる。五歳頃から父に書の手ほどきをうける。その後、女学校時代以外はほとんど独学で書を学ぶ。
1950年から数年、書道芸術院に所属して前衛書の作家たちと交流を持つが、1956年に渡米。抽象表現主義絵画が全盛期のニューヨークで、作品を制作する。文字の決まり事を離れた新しい墨の造形を試み、その作品は水墨の抽象画=墨象と呼ばれる。アメリカ滞在中、数回の個展を開き高い評価を得るが、乾いた気候が水墨に向かないと悟り、帰国。以後日本で制作し、各国で作品を発表している。
和紙に、墨・金箔・銀箔・金泥・銀泥・朱泥といった日本画の画材を用い、限られた色彩で多様な表情を生み出す。
万葉集などをしるした文字による制作も続けるが、墨象との線引きは難しい。近年はリトグラフも手掛けている。エッセイストとしての彼女のファンも多い。
略歴
- 1913年 3月28日 旧満州国大連に生まれる(本籍岐阜)
- 1914年 父の転勤で東京に移る
- 1929年 この頃から女学校の師である下野雪堂に書の指導を受け、卒業後も二年ほど指導を受ける
- 1935年 書を教え始める
- 1940年 東京鳩居堂で最初の個展、「根なし草」と評される
- 1947年 書の枠を出た抽象的な作品を制作し始める
- 1950年 書道芸術院に所属 (1956年まで)
- 1956年 渡米 (1958年までニューヨークで制作)
- 1956年 個展 (スエゾフ・ギャラリー、ボストン)
- 1957年 個展 (バーサ・シェイファーズ・ギャラリー、ニューヨーク)
- 1958年 帰国
- 1965年 個展 (ベティ・パーソンズ・ギャラリー、ニューヨーク)
- 1968年 この頃より時折、富士山麓のアトリエで制作するようになる
- 1979年 随筆集『墨いろ』で第27回日本エッセイスト・クラブ賞受賞
- 1992年 個展「篠田桃紅 時のかたち」岐阜県美術館
- 2003年 個展「篠田桃紅 朱よ」原美術館
著書
- 『いろは四十八文字』 1976年11月 矢来書院
- 『墨いろ』 1978年5月 PHP研究所
- 『朱泥抄』 1979年11月 PHP研究所
- 『その日の墨』 1983年4月 冬樹社
- 『おもいのほかの』 1985年12月 冬樹社
- 『きのうのゆくへ』 1990年4月 講談社
- 『墨を読む』 1998年6月 小学館
- 『桃紅 私というひとり』 2000年12月 世界文化社
- 『桃紅えほん』 2002年4月 世界文化社
主な作品展示先
- 岐阜現代美術館(岐阜県関市・鍋屋バイテック関工園内)
- 関市立篠田桃紅美術空間(岐阜県関市・関市役所庁舎内)
- 篠田桃紅作品館(新潟県新潟市中央区)
- 吉島家住宅(岐阜県高山市)