神現祭

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神現祭の壁画イコンヨルダン川河畔にある前駆授洗イオアン教会)
ブルガリア正教会での神現祭の一場面。川や湖で聖水式が行われた後、聖水となった水の中に入る習慣が世界各地の正教会にある(全ての個々の教会で行われているわけではなく、また日本正教会では行われていない)。イイスス・ハリストス(イエス・キリスト)の洗礼によって水が成聖されたことを記憶する。
ヴォルガ川での神現祭の一場面。氷の十字架が用意されているが、同様の習慣は世界各地の正教会にある。

神現祭ギリシア語: Θεοφάνια, ロシア語: Богоявле́ние, 英語: Theophany)は、正教会の祭。十二大祭の一つ。イイスス・ハリストス(イエス・キリスト)の洗礼を記憶することから主の洗礼祭とも呼ばれる[1]。祭日は1月6日(ユリウス暦を使用する正教会では1月19日に相当)[2]

イイスス・ハリストス(イエス・キリスト)の洗礼と、至聖三者の顕現を祝う。後者の意義は、主の洗礼の際に天から神父(かみちち:至聖三者のうちの「父なる神」)の声が聞こえ、聖神(聖霊)が鴿のかたちでくだったという福音書の記述による[3]

4世紀西方教会に伝わり、現在の公現祭(顕現日などとも)となったが、西方教会では主の洗礼の意味は失われ、東方の博士の来訪が記念の中心となり、異邦人に対する主の顕現として祝われるようになった[4]

意義

この祭りで記憶される内容として以下が挙げられる。

聖書の箇所は以下の通りである[3]

語義

神現祭を意味する他言語表記では、ギリシア語: Θεοφάνια(セオファニア[6])もロシア語: Богоявле́ние(バガヤヴレーニイェ)も、いずれも「神の現れ」「神の顕現」という意味である。英語ではTheophanyと表記される[3][7]

ギリシア語: Επιφάνεια(エピファニア[8])という語彙も使われるが、Επιφάνειαはただ「現れ・顕現」という意味である[7]

聖水式

大聖水式でタンクの水を成聖するモスクワ総主教アレクシイ2世

神現祭に大聖水式を行なう習慣がある。聖堂内もしくは屋外に用意されたタンクに水を満たし、水の中に十字架を浸して十字を画き、水の成聖(せいせい)を行うものである。こうして成聖された水は聖水と呼ばれ、信徒達に分け与えられる。神品 (正教会の聖職)が手近な水辺(海、川、湖、池、プール、貯水池など)に赴き、同様の大聖水式を行うこともある。

神現祭以外の日にも聖水が不足してきた際に適宜行われるものとして小聖水式があるが、大聖水式は神現祭でのみ行われるものである。

神現を記憶する聖堂修道院も数多く存在する。

脚注

外部リンク