田野大輔
田野 大輔(たの だいすけ、1970年 - )は、日本の社会学者。甲南大学文学部教授[1]。専門は歴史社会学、ドイツ現代史、ナチズム研究。
略歴
東京都生まれ。海城高等学校、京都大学文学部を卒業。1998年京都大学大学院文学研究科博士後期課程(社会学専攻)研究指導認定退学。大阪経済大学人間科学部准教授などを経て、2012年より甲南大学文学部教授[2][3]。京都大学博士(文学)。
ファシズム体験授業
「権力の後ろ盾があればいとも簡単に、社会的に許されないことができてしまう[4]」ということを学生に考えさせることを目的として、所属校である甲南大学でファシズムの体験学習授業を行っている。学生が同じ服装でナチス式敬礼や糾弾などを体験することを通して「集団心理が暴走することの怖さ[5]」を学ぶというものである。この取り組みは、アメリカ合衆国でおこなわれた「サードウェイブ実験」を描いた映画『ザ・ウェイブ』に田野が触発されて開始した[6]。
著書
- 『魅惑する帝国――政治の美学化とナチズム』(名古屋大学出版会、2007年6月) - ナチスが「国家を美しく見せる政策」をいかに展開したかを、歴史社会学の観点から分析した著作である[7]。
- 『愛と欲望のナチズム』(講談社選書メチエ、2012年9月) - ナチスドイツにおいて、国民を動員するために行われていた「ヘテロなエロスの挑発[8]」を分析した著作である。
- 『教養のドイツ現代史』(共編、ミネルヴァ書房、2016年6月)
- 『ファシズムの教室――なぜ集団は暴走するのか』(大月書店、2020年4月)
翻訳
- エリック・リーヴィー『第三帝国の音楽』(共訳、名古屋大学出版会、2000年12月)
- シーダ・スコッチポル『現代社会革命論』(共訳、岩波書店、2001年3月)
- ダグマー・ヘルツォーク『セックスとナチズムの記憶――20世紀ドイツにおける性の政治化』(共訳、岩波書店、2012年12月)
論文
脚注
- ^ “田野 大輔 Daisuke Tano”. 現代ビジネス. 2019年1月31日閲覧。
- ^ “田野大輔 - 研究者”. researchmap. 2019年1月31日閲覧。
- ^ “研究者詳細 - 田野大輔”. 甲南大学 - 研究者詳細. 2019年1月31日閲覧。
- ^ “我が内なるファシズム”. 東京新聞 TOKYO Web (2019年3月30日). 2019年12月11日閲覧。
- ^ 杉原里美 (2018年8月16日). “ファシズム体験、まひしていく学生たち 服従する快感:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2019年12月11日閲覧。
- ^ 田野大輔 (2018年7月6日). “私が大学で「ナチスを体験する」授業を続ける理由”. 現代ビジネス 2020年8月16日閲覧。
- ^ 星野学「(テークオフ)大阪経済大学准教授・田野大輔さん ナチズム体制を「美」から読み解く」『朝日新聞』2007年10月27日夕刊be土曜6面、p. 10。
- ^ 井上章一 (2012年9月26日). “愛と欲望のナチズム 田野大輔著”. 日本経済新聞 電子版. 2019年12月11日閲覧。
外部リンク
- dTANo.Mac - 公式サイト
- 田野大輔 - 甲南大学
- 田野大輔 - researchmap
- 田野大輔 (@tanosensei) - X(旧Twitter)
- 田野大輔 - 現代ビジネス