瓦塔

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瓦塔(がとう)は、奈良時代から平安時代にかけて作られた、五重または七重の木造建築の塔を模した焼物製の塔である。瓦塔の安置目的については定説はないが、木造の仏塔の代わりに安置して信仰の対象としたという説などがある。高さは1.5 - 2メートル程度である。

概要

奈良時代から作り始められ、平安時代初期に盛んに作られた。土師質または須恵器製の小塔であるが、屋根、柱、組物などは木造塔のそれを模して表現されている。長野県塩尻市菖蒲沢窯跡出土の瓦塔(奈良時代)は高さ2.3メートルで、日本最大の瓦塔である[1]。多くの瓦塔は出土した破片を組み上げて五重塔に復元されているが、千葉県印西市馬込遺跡出土の瓦塔(2基)は七重塔に復元されている[2]。小型の仏堂内に安置され、人々の信仰の対象になっていたと考えられているが、出土例が限られていることもあり、正確な用途はわかっていない。埼玉県美里町東山遺跡からは平安時代初期の瓦塔(五重塔)と、入母屋造重層の金堂をかたどった「瓦堂」が共に出土している[3]

展示施設

長野県塩尻市の塩尻市立平出博物館(平出遺跡考古博物館・歴史民俗資料館・瓦塔館の3館の総称)には、瓦塔館がある。出土した瓦塔が展示されている。

文献

  • 出河裕仁「信濃の瓦塔再考」『信濃』47巻4号、1995年
  • 高崎光司「瓦塔小考」『考古学雑誌』74巻1号、1989年

脚注

外部リンク