燻蒸

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燻蒸(くんじょう、: Fumigation)は、主に害虫駆除や防カビ・殺菌の目的で、気体の薬剤を対象に浸透させる方法。

対象

ポストハーベスト農薬として農産物に対して行われたり、農地土壌に対して線形動物などの駆除に用いられたり、シロアリなど木造建築物に被害を及ぼす虫に対し、木材や建物全体に燻蒸を行うことがある.[1]

また、博物館施設においては施設そのものが気密性を高くするなど害虫文化財害虫)による収蔵品への虫損を防止する配慮がなされているが、定期的に燻蒸を行うことで収蔵品への影響を防止している。一方で、燻蒸薬剤による文化財への影響も考慮される。

方法

大半の燻蒸剤は人体に有害であり、燻蒸は密閉した無人の状態で行われ、燻蒸終了後は人が入る前に十分に換気される。住宅の燻蒸では、燻蒸剤の漏洩および害虫が周囲の建物へ逃げ出すことを防ぐため、建物全体を丈夫なテントで覆い、テント内部を燻蒸剤で充満させる。フッ化スルフリルなど無臭の燻蒸剤を使用する場合には、事前に刺激性のあるクロロピクリンをテント内に放流して、人が退去したか確認する場合がある。燻蒸開始から再度居住者が立ち入ることができるまでには、最長1週間を要する。

主な燻蒸剤

かつては臭化メチルも使用されていたが、オゾン層を破壊するおそれがあるとして、モントリオール議定書により製造と使用が制限されている[2][3]

脚注

  1. ^ Baur, Fred. Insect Management for Food Storage and Processing. American Ass. of Cereal Chemists. pp. 162–165. ISBN 0913250384 
  2. ^ Messenger, Belinda; Braun, Adolf (2000年). “Alternatives to Methyl Bromide for the Control of Soil-Borne Diseases and Pests in California”. Pest Management Analysis and Planning Program. 2008年11月17日閲覧。
  3. ^ Decanio; Norman, Catherine S. (2008 first = Stephen J.). “Economics of the "Critical Use" of Methyl bromide under the Montreal Protocol”. Contemporary Economic Policy 23 (3): 376–393. doi:10.1093/cep/byi028.