無水酢酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Luckas-bot (会話 | 投稿記録) による 2012年5月19日 (土) 11:01個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (r2.7.1) (ロボットによる 追加: cs:Anhydrid kyseliny octové)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

無水酢酸
無水酢酸
IUPAC名無水酢酸(許容慣用名)
分子式C4H6O3
分子量102.09
CAS登録番号108-24-7
形状無色液体
密度1.08 g/cm3, 液体
融点−73 °C
沸点140.0 °C
SMILESCC(=O)OC(=O)C

無水酢酸(むすいさくさん、acetic anhydride)とは、カルボン酸無水物の一種で、酢酸2分子が脱水縮合したものに相当する。分子式は C4H6O3示性式は (CH3CO)2O と表される。

無水酢酸は、稀に純酢酸(氷酢酸とも)と混同されることがあるが、純酢酸とは水をほとんど含まない、純度がほぼ 100% の酢酸のことで、違う化合物である。

性質

無色で強い酸味と刺激臭を持つ液体分子量 102.09、融点 −73 ℃、沸点 140.0 ℃。蒸気は催涙性を持っており、液体を皮膚に付着させると水疱炎症を生ずる(腐食の項も参照の事)。

エタノールに易溶だが、徐々に反応して酢酸エチルとなる。また、エーテルベンゼンニトロベンゼンなどにも溶ける。には約2.7%溶けて、徐々に反応して酢酸となる。この反応はの存在により促進される。強塩基と反応させると酢酸塩となる。

合成法

工業的にはケテンと酢酸を反応させて製造される。あるいは無水塩化アルミニウム触媒とした酢酸とホスゲンの反応や塩化アセチル酢酸ナトリウムの反応でも生成する。

無水酢酸の2007年度日本国内生産量は 259,014 t、工業消費量は 204,499 t であった。

反応

カルボン酸無水物の反応性を持つ。塩基、または酸を触媒として、酢酸誘導体の合成に用いられる。例えば、アルコールと反応すると酢酸エステルが、アミンと反応するとアセトアミド誘導体が得られる。

法規制

麻薬等の製造過程で使用される(モルヒネと化合させるとヘロインが出来る)ことから、平成13年11月25日に施行された、改正・麻薬及び向精神薬取締法により、日本国では「特定麻薬向精神薬原料」に指定された。アメリカ合衆国ではDEA規則により使用と販売が制限されている。

また引火性があるため、大量貯蔵管理に際しては危険物取扱者免許を要する(危険物第四類第2石油類)。

参照資料

関連項目