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測地系

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測地系(そくちけい)は、地球上の位置を経緯度経度緯度)及び標高を用いる座標によって表すとき、前提とする条件のことである。

全地球的測地系

全地球的測地系とは、測地系のうちで適用範囲が全地球に及ぶことも可であるもの。

各種の全地球的測地系

相互間における経緯度値の差はかなり小さい。

測地系の3要素

測地座標系

直交座標系としての定義

  • 原点
  • x軸方向
  • z軸方向

準拠楕円体

二要素によって定義(通常は長半径及び扁平率

準拠楕円体の例:

  • GRS 80(1980年改訂)楕円体
    • 長半径は 6 378 137m、扁平率は 1/298.257 222 101
  • WGS 84で用いる準拠楕円体
    • 長半径は GRS 80に同じ、扁平率は 1/298.257 223 563
    • もともとGRS 80に依拠しており、扁平率を決定するに当たって、正規化された2次の帯調和重力係数から計算により導出されたが、この重力係数計算の際に基となるGRS 80の力学的形状係数J2の有効数字が8桁で打ち切られた[1]。これにより、扁平率の値が異なることとなった結果、短半径がGRS 80に比べて約0.104mmだけ長い。
      • 通常のナビゲーションや精度を必要としない地図作成においてはGRS 80との差を考慮する必要はないが、精密な測量の基準のためにはWGS 84を使用することについては必ずしも推奨されない。
  • ベッセル楕円体

ジオイド面

ジオイド面は標高の基準。

世界測地系という呼称

全地球的測地系の範疇に属し、個々の国で採用されている測地系には、世界測地系という呼称を持つものがある。各々を混同してはならない。

米国の測地系:世界測地系

  • 世界測地系(World Geodetic System, WGS
    • 世界測地系1984(WGS 84)
      • 1984年に大きく改訂された版をいう。
      • GPSで使用されている。
      • GPSから得られた成果が盛り込まれている。
      • 最新の小改訂が2004年に施された。(名称WGS 84に変更は無い)

日本の測地系:世界測地系

  • 国土地理院が策定し日本が採用(測量法改正2002年4月1日)した測地系を指す。
  • 新日本測地系もしくは日本測地系2000等の呼称のほうが正確に見えるかもしれないが、法令上は「世界測地系」である。
  • 正式な英語名は "The Japanese Geodetic Datum 2000" 若しくは "The Japanese Geodetic System 2000" [2]

一般的呼称:世界測地系

国際的測地成果を用いて実現した全地球的測地系を意味して、世界測地系と呼ぶ考え方もある。国外に通じるかは不明。

日本の測地系:世界測地系と日本測地系

日本測地系

日本では、2002年4月1日までは、日本測地系旧日本測地系Tokyo Datum)と呼ばれる測地系を用いてきた。

  • 局所座標系の範疇に属する測地系(日本周辺にしか通用しないことが前提)
  • 準拠楕円体はベッセル楕円体
  • 測地座標系は独自の天文観測に基づく座標系
  • 標高の基準は東京湾平均海面

WGS 84の経緯度と日本測地系のそれとでは、両者の値に東京付近の地表面では400m程度のずれが存在する。また、日本測地系にもとづく基準点網は古い測量成果の三角網によって設定されているため、測地系以外の要因による地図のゆがみが5~10m程度存在した。

これらのずれやゆがみは、日本国内向けに1:25,000の地形図を発行するには問題を生じないが、海図の国際利用や、精密な位置情報にもとづくGISデータの整備の障害になりつつあった。

世界測地系

そこで、測量法及び水路業務法の一部を改正する法律の施行により2002年4月1日から、世界測地系と呼ぶ測地系を用いることとなった。

  • 全地球的測地系の範疇に属する測地系
  • 準拠楕円体はGRS 80楕円体
  • 測地座標系はITRF 94座標系
  • 基準ジオイド面は東京湾平均海面。
  • 東京付近では、おおむね、日本測地系の数値から、北緯に12秒加え、東経に12秒減ずると、世界測地系の数値が得られる。

インターネット地図が採用している測地系

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク