杉田俊介
杉田俊介(すぎた しゅんすけ、1975年‐)は日本の批評家。神奈川県川崎市在住。法政大学大学院修士課程(日本文学専攻)修了後、川崎市のNPO法人で障害者サポートに従事しながら執筆活動を行う。2004年、評論「ムラカミハルキ、レター」で第21回早稲田文学新人賞候補。有限責任事業組合フリーターズフリーの組合員として活動し、雑誌「ロスジェネ」にも寄稿するなど、2000年代(ゼロ年代)のいわゆるロスジェネ論壇の一翼を担った。雨宮処凛『生きさせろ!』『反撃カルチャー』等に登場する。非モテを自称し、「性暴力についてのノート」では、かつての性暴力の被害と加害をカミングアウトしている。『フリーターにとって「自由」とは何か』は、チェルフィッチュの岡田利規の演劇『エンジョイ』(2006年)の原作となった(『エンジョイ・アワー・フリータイム』「あとがき」)。批評家の大澤信亮は「21世紀の暫定名著」の一冊に『フリーターにとって「自由」とは何か』を選んでいる(「群像」2016年1月号)。
著作
- 『フリーターにとって「自由」とは何か』、人文書院、2005
- 『無能力批評――労働と生存のエチカ』、大月書店、2008
- 『宮崎駿論――神々と子どもたちの物語』、NHK出版、2014
- 『長渕剛論――歌え、歌い殺される明日まで』、毎日新聞出版、2016
- 「災厄と映像――土本典昭と「甦り」の映画」、「すばる」2014年1月号
- 「よわさとやさしさ――長渕剛試論」、「すばる」2014年6月号
- 「弱さという生業――「生倫理」序説」、「支援」vol.4、2014年5月
- 「東浩紀論――楽しむべき批評」、「新潮」2014年11月号
- 「岩明均論のためのノート」、「ユリイカ」2015年1月増刊号
- 「ジェノサイドについてのノート――リティ・パニュ、ジョシュア・オッペンハイマー、伊藤計劃」、「新潮」2015年3月号
- 「今、絶対平和を問いなおす」、「すばる」2015年6月号
- 「あしたの長渕剛――10万人オールナイト・ライヴin富士山麓体験記」、「すばる」2015年11月号
- 「長渕剛と三島由紀夫――その日本浪曼派的な命脈」、「文藝別冊」2015年11月
- 「坂口恭平の二律背反――『家族の哲学』に応答するための助走ノート」、「ユリイカ」2015年1月臨時増刊
- 「老い衰えていく神の信徒として――亀山郁夫『新カラマーゾフの兄弟』」、『ドストエフスキー カラマーゾフの預言』2016年1月、河出書房新社
- 「宮崎駿の「折り返し点」――『もののけ姫』論前哨」、「すばる」2016年4月号
- 「宮崎駿の「折り返し点」(2)――『耳をすませば』に背中を押されれば」、「すばる」2016年5月号
共著
- 『フリーターズフリー』01号、有限責任事業組合フリーターズフリー、2007
- 『フリーター論争2.0』、人文書院、2008
- 『1995年――未了の問題圏』、大月書店、2008
- 『フリーターズフリー』02号、有限責任事業組合フリーターズフリー、2008
- 『フェミニズムはだれのもの?――フリーターズフリー対談集』、人文書院、2010
- 『障害者介助の現場から考える生活と労働――ささやかな「介助者学」のこころみ』、明石書店、2013
対談・座談等
- 中島岳志・杉田俊介「〈1995年以後〉をどう捉え/生きるか」、「αシノドス」17号〜19号、2009
- 市野川容孝・堀田義太郎・杉田俊介「「ケアの社会化」 の此/彼岸」、「現代思想」2009年2月号、青土社
- 大澤信亮・杉田俊介「10年の対話」、「ロスジェネ」04、かもがわ出版、2010
- 岡田利規・杉田俊介「僕たちにとって貧困とは何か」、「すばる」2010年11月号
- 東浩紀インタビュー「批評を持続させるために」、「すばる」2015年2月号
- 斎藤環・杉田俊介「境界線を生きる者たち」、「ユリイカ」2015年1月増刊号
- 杉田俊介・藤田直哉・矢野利裕「ブックガイド 近代日本の文芸批評を知るための40冊」、「すばる」2016年2月号