天使の飼い方・しつけ方

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天使の飼い方・しつけ方』(てんしのかいかた・しつけかた)は、淺沼広太/著・羽々キロ/イラストライトノベル作品。集英社スーパーダッシュ文庫より全5巻が刊行された。

あらすじ

超マイペースな高校生・神月ひかるの元に、突如天使セラが光臨する。「天使か…… いるところにはいるんだな」と予想外の鈍重なリアクションに、天使セラは困惑する。さらに、同じ日に悪魔のイデルが現れ、ひかるの魂を奪いに来る。

登場人物

神月家

神月 ひかる(かみづき ひかる)
主人公。県立港高校に通う高校2年生。ワイルド系で美形だが、目つきの悪さがたたりクラスでは恐怖の的になっている。「確実に何人か半殺しにしてる」やら「東京ドームの地下にある裏闘技場の最年少チャンピオン」などの噂が広まっているが、本人が否定しないために噂が肥大化しつつあったが、セラの努力で改善しつつある。
6歳の頃に事故で記憶をなくしており、それまでは天使のような笑顔の少年だったが、事故の際のトラウマで悪魔の視線を身につけてしまっている。本当は10年前に、あるきっかけで悪魔のベルフェラジィと出会ってしまい、その際に魂を半分取られ、替わりに悪魔の魔力を注がれており、目にも悪魔の魔力が込められている。この呪いを解くには「人間の少女に告白されること」が条件となっている。
十字架のチョーカーを身に着けており、それを触ることで気分が落ち着くせいか、入浴時も寝るときも常に肌身離さず着用している。動物好きで、愛読書は不良と動物をミックスしたような漫画の『伝説のバサラッ!!』である。
神月 桜(かみづき さくら)
ひかるの母親で専業主婦。テンションが無駄に高くよく喋る。ひかるに女の子の友達ができることをとても喜んでおり、セラとイデルが住むことになったときも歓迎していた。イデルに名前や出身地を聞いたとき、イデルが答えた「魔界」をアフリカのほうにある国だと勘違いしていた。自宅の庭に家庭菜園を設けており、トマトやピーマンといった野菜を育てている。
神月 流(かみづき りゅう)
ひかるの父親で船舶関係の仕事についており、家を空けていることのほうが多い。お土産としてメキシコで呪いの石仮面を買ってきたり、エジプトで悪魔の力が備わるとの曰くつきの矢を買ってくるなど、オカルト好きらしい一面が汲み取れる。並大抵のこととは驚かないと自称するだけあって、セラとイデルが天使と悪魔だと聞かされても、全く動じないところか受け入れる面を見せた。理力と魔力による認識の書き換えが効かない。しばの天敵
神月家は、もともと「神憑き」と呼ばれており、神月家の男子には代々不思議な力が宿るとされ、その修行と特訓のために帰宅した。流本人も微量ながら理力を持っている。
しば
神月家の愛犬で、なぜか自分が破壊神の生まれ変わりだと信じている。彼にとっての散歩は視察であり、いずれ世界を破壊するための現地調査であるらしい。ひかるのことを第一家来、桜のことは第二家来、セラのことを第三家来だと思っている。また、流とイデルには頭が上がらず、理由は「生きとし生けるものが恐怖する死をどこかで受け入れているから」らしい。玉葱とピーマンが苦手。

県立港高校

小日向 千景(こひなた ちかげ)
ひかるの隣のクラスで、内気で何かあるとすぐにポエムのような文章を口走ってしまう、アークの担当している少女。ある事件でひかるに助けられたとき(ひかる自身に自覚なし)から、ひかるに恋をしてしまう。ひかるを愛してやまない純情な気持ちが、恋愛天使であるアークを呼び寄せてしまった。絶叫マシンが苦手。
花形さん(はながた)
ひかるのクラスメイトで、しっかりもので下手な男子よりも頼りになる少女。根性が人一倍座っていて、ひかるの視線にも動じない精神力の持ち主。あだ名はハナちゃん。笑い上戸で一度ツボにはまってしまうと、しばらく笑いが止まらない。
内藤さん(ないとう)
ひかるのクラスメイトで、動物好き。

天界

セラ / 天音 瀬良(あまね せら)
ひかるのもとにやってきた元守護天使であり、いずれ最高とうたわれるはずの癒し天使。癒し天使とは思えないほどのハイテンションで即行動派。マイペースで空気が読めていなく、目的のためには手段を選ばない性格をしている。「天音瀬良」という名前は高校に通うための偽名であり、親戚でひかるの家に同居している設定である。また、自分から進んで守護天使から癒し天使へと転職した。自称磐石な精神構造をしているらしい
ひかるが動物好きという情報を仕入れ、「あにまる大変身」という動物に変身できるスキルを習得するが完全に制御ができておらず、猫になりたいと思ったときはネコミミ少女になってしまった。その後小指を角にぶつけたりという衝撃で理力が暴走し、文鳥キリンフェレットトイプードルラッコパンダに変身している。他に「初めての犬会話」、「見えざる楯」、「断罪の剣」などのスキルを持っている。洗濯や掃除は難なくこなすが料理の腕は最悪で、お粥を作る際に水の入った鍋にご飯を入れて、消し炭にしたことがある。
実は10年前、守護天使見習いだった時の研修中にひかると出会ったことがあり、たまたま迷い込んだ森で悪魔ベルフェラジィに出会ってしまい、自分のせいでひかるの魂を半分とられ、しかも自分にしか解けない呪い(ひかるが人気者になること)をひかるにかけられたからことがきっかけで、癒し天使に転職したのである。また、今は癒し天使課所属の守護天使となっている。
アーク
恋愛天使で、セラの幼稚園時代の幼馴染。セラのことを「セッちゃん」と呼ぶ。ひかるに恋をする小日向千景のもとに訪れる。口調は英語と日本語が混じっており、ルー大柴のしゃべり方に似ている。母親のエルリーブを苦手としていて、母親の名前を出されるとそそくさ逃げ出してしまう。
ラーファ
天界の癒し天使課の課長でセラの上司。もともとは七大天使の候補に上がるほどの能力を持つ有能な天使であったが、自分から辞退し人材育成に励んでいる。穏やかで優しい笑顔で素敵なお兄さん風だが恋人はいないらしい。セラの行動を見守りつつ、助言している部下思いの優しい上司であるが、同僚と話すときとは態度が極端に違うらしい。モデルはユダヤ教の癒しを司る天使ラファエルかと思われる[独自研究?]。お茶と羊羹が好きで、こだわりを持っている。カヌレという黒猫を飼っている。
ミハル
ラーファの同期でライバル。天防省に勤めており、七大天使の一人でもある。ラーファからは、ミーくんと呼ばれている。
エルリーブ
天界の恋愛天使課の課長にして、七大天使の一人でアークの母親。またこの天界においてラーファが苦手とし、頭が上がらない唯一の人物。恋愛天使というよりは、守護天使といえるような性格をしている。七大悪魔のベルフェラジィと面識があるように思われる。
メタト
天界で作られた天使の形を模した(天使そのものの形をした)最強兵器。これが存在すると、魔界を下手に刺激する可能性があるため、天防省から初期化と停止命令が下された。背中の銀色の翼で、理力と魔力を無効化する。
メタトに停止命令が下された理由とは、自我を持ち、天界では考えてはならないとされる禁句「天使と悪魔は何故戦わなければならないのか」を疑問に思ったからとされる。戦いと説得の末にメタト本体は停止・封印されたが、エルリーブによって魂を流刑にされた。

魔界

イデル/佐田 イデル(さた)
ひかるのもとに魂を欲してやってきた悪魔。とても怠惰な性格をしており、おそらく魂をとるという使命を全うできそうにない悪魔らしくない悪魔。寝ながら食事を食べたりするという特技を持つ。肉好き・野菜嫌いで、初めて神月家で食事をしたときは、野菜をきれいに除けたり、すき焼きをしたときは春菊を嫌いといって除けていた。佐田イデルという名前は高校に通うための偽名で、ひかるの父親が海外でお世話になった家の子供という設定である。セラと違って料理は上手いほうで、お粥を作る際は圧力鍋で米から作るという技をやってのけた。また、非常に口下手であり、大事なことを言おうとしても他の話題を振られたりすると、そっちの話をしてしまうため、なかなか思ったことを伝えられない。セラやひかるのことを友達だと思っている。
実は、イデルはベルフェラジィがひかるの魂から作った、言わばひかるの半身であり、ひかるの魂をとらなければ、あと1年のうちに死んでしまうと母親に言われているが、本人はひかるの魂を捕る気はまったく無い。
ベルフェラジィ
魔界の七大悪魔の一人であり、魔界の超大物。イデルの母親。一人称はベルちゃん。怠惰な女王という二つ名があり、とても面倒くさがりである。趣味は他人にできたかさぶたをはがすこと。七大天使で恋愛天使のエルリーブと面識があるのではないかと思われる。
実は10年前にひかると当時は守護天使だったセラと出会い、ひかるの魂を掛けてセラと勝負して勝利し、ひかるの魂を半分もらい、替わりに魔力を彼に与え、セラにしか解けない「ひかるが人気者になること」という呪いを掛けた張本人である。イデルのことを心から心配しているせいか、ひかるに魂を受け渡すことを促すため、人間界を巻き込んだ天界と魔界の戦争を起こそうとしている。
カルマ
ベルフェラジイに仕える悪魔。イデルの護衛と使命を達するために下界にやってくる。イデルの手伝いと称し、様々な不幸をひかるに与えていた。体を粘土細工のように自由自在に変えることができる。イデル曰く「うざい」らしい。

場所

天界(てんかい)
人間界とまったく同じような土の地面で、舗装されていないあぜ道が続く、のどかな田園風景のような場所。都会のような場所もあり、天防省などは都会にある。また、通販システムも発達している。
癒し課庁舎(いやしかちょうしゃ)
りんごやサクランボなどの果樹園に囲まれた、木造平屋建ての建物。老朽化が著しく進んでおり、廊下を歩くとぎしぎし軋む上にクーラーがない。今のところ立て替える予定はないらしい。
魔界(まかい)
薄紫色の空に満月が浮かんでいて、深緑の森には数々の魔物がすんでいる。イデルの実家の周りには、母親の配下である獣人がうようよしている。通貨はヌエボソル。レートは常に変動しており、1ヌエボソルは日本円にして約35円。
港市(みなとし)
ひかるが住んでいる街で、海に面している。2つの大きな通りがあって、周囲にはコンビニエンスストアガソリンスタンドはあるものの、ファミリーレストランなどはなく。書店なども歩いて結構かかる距離にある。
アクアパラダイスMINATO
港市の湾岸沿いに出来た、県内最大級のウォータースライダーと併設する水族館が自慢のアミューズメント施設。
ハプスブルグ家に生まれて
港市の中心街に新しく出来たメイド喫茶ネットカフェを組み合わせたような施設。

用語

天使(てんし)
天界から、護衛や癒しが目的で人間のもとにやってくる。愛の天使、守護天使、癒しの天使など、様々な種類の天使が存在する。また、ランクが存在し、上級、中級、初級などがある。中でも最高なのは、七大天使とよばれる。
なお、天使には「特定の人間を愛してはならない」「姿を消すときは認識を書き換えて存在をなかったことにしなければならない」といったルールがある。
理力(りりょく)
天使の力の源で、天使がその力やスキルを行使する際に必要なもの。理力を発動する際は頭の上にある輪が回転し、光とともに理力が発生する。特に人間界に赴く天使は、記憶や意識の書き換えを行使する際にも理力を使う。さらに理力をある一定のものに充填し、悪魔の魔力から身を守るといった使い方もできる。また、衝撃で理力が暴走することもある。
魔力(まりょく)
悪魔の魔力の源で、悪魔がその力を発揮するために必要なもの。魔力を発動させる際は頭の上に黒い輪が浮かび、その中に人間の目のような文様が浮かび上がり、そこから魔力の波が発生する。天使と同様記憶認識の書き換えにも魔力を使う。理力と衝突すると互いに干渉し相殺して、発動前に消滅する。
天使規律(てんしきりつ)
天使が活動する際に必ず守らなければならない絶対的なルール。これを守らなければ、天使の存在がなかったことにされて、消滅する。すべての規律はポエムのような四行詩で書かれている。これは、ある高名な芸術の天使が、「堅苦しい規律をより親しみやすくするために、血反吐を吐きながら、涙と胃液の逆流に耐え忍んで生み出した」らしい。
この規律は、2000ページを超える天使手帳に記されているが、あまりの重さに持ち歩く天使はおらず、また必要な部分をケータイ端末のデータバンクで要所要所ダウンロードができる。
なお、守護天使の規律は、「楯たる天使、絆の糸の切れるまで、その魂一欠片になろうとも、ずっとずっと
癒しの天使の規律は、「止まり木の天使、吹き荒れる嵐旅人を責めても、絶えることなく耐えること、いずれ過ぎ去るそのときまで。
恋愛天使の規律は、「赤い糸の天使、純白の心に舞い降りて 寄せる思いの支えとなれ、口付けが誓うそのときまで。」である。
詩の形になっているため、様々な解釈ができるようになっている。

既刊一覧

  1. 本編には一部ファンシーな内容が含まれております。 2007年5月初版 ISBN 978-4-08-630351-4
  2. なまけものですのでお早めにお召し上がりください。 2007年7月初版 ISBN 978-4-08-630368-2
  3. このあとスタッフが全力でもふもふいたしました。 2007年10月初版 ISBN 978-4-08-630381-1
  4. 今日から始める実用イデルトレーニング 2008年5月初版 ISBN 978-4-08-630424-5
  5. 純情と友情のあいだに 2008年7月初版 ISBN 978-4-08-630437-5

外部リンク