ラッコ

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?ラッコ
保全状態評価
ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
ファイル:Status iucn3.1 EN.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: ネコ目 Carnivora
: イタチ科 Mustelidae
亜科 : カワウソ亜科 Lutrinae
: ラッコ属 Enhydra
: ラッコ E. lutris
学名
Enhydra lutris
Linnaeus, 1758
和名
ラッコ
英名
Sea otter

ラッコ(猟虎、海獺、Enhydra lutris英称Sea otter)はネコ目(食肉目) イタチ科 カワウソ亜科に属する哺乳類の一種である。千島列島アラスカカリフォルニア州などの北太平洋沿岸に生息している。分布の北限は北極海の氷域であり、南限はカリフォルニアの「ジャイアントケルプ」の分布の南限と一致している。「ラッコ」の名はアイヌ語の "rakko" に由来する。

目次

生態

海上で生活し、陸に上がることはめったにない。交尾出産は海上で行う。一度の出産で通常1子(まれに2子)が生まれる。腹の上に仔を乗せながら、海上で仔育てを行う。

春になると雄は雌に交尾のアピールし、雌の承諾が得られると並んで仰向けになって波間に浮かぶ。 雄は交尾の際、体制を維持するために雌の鼻をかむ。たいていはすぐに直る軽症で済むが、まれに傷が悪化し、食料を食べられなくなることなどで、命を落としてしまうものも存在する。雄は交尾が済むと別の雌を探しにいき、子育てに参加することはない。 幼体は親が狩りをしている間、波間に浮かんで親が戻ってくるのを待つ。この時は無防備になり、ホオジロザメに約一割の幼体が補食されてしまう。子供は親から道具の使い方や食べられるものを習う。成長したラッコはお気に入りの石を持ち歩き、潜る時は錘に使う。

ラッコは水分を海水をのむことで補い、浄化のため腎臓の大きさはカワウソ類の平均的な大きさの2倍をほこる。また、カワウソ類のなかでは集団で生活をする珍しい種である。

アラスカの方ではアシカが乱獲などにより激減。食料をアシカに頼っていたシャチの一部がラッコを獲物としたため、90%近くが姿を消してしまうこともあった。

海中に潜りアワビウニなどを捕らえて食べる。水面で仰向けになり、腹の上に置いた石などに打ち付けることで、これら獲物の殻を割り中身を食べている。このような道具使用は霊長類を除く哺乳類では唯一の例である。海底に固着した貝を引き剥がすときにも、石を道具として使用することがある。大食漢であり、飼育下においては一日に体重の15%近くの餌が与えられているほどである(鳥羽水族館)。野生のラッコも同様に大食漢であり、人間にすると1日に100個ハンバーガーを食べている。消化速度が非常に早く、他のカワウソ類の2.5倍である。

このため、ラッコの棲息する海域ではアワビ、ウニなどの高級海産物が大規模な食害にあい漁業関係者に深刻なダメージを与えているが、国際条約などで保護動物となっている場合が多いので地域の都合で駆除などができない。 ただし、海藻を根絶やしにしてしまいかねないウニ類を補食することから、海底の環境維持に貢献している。また、自らも寝る時に海流に流されないよう、海藻のケルプがわりに身体に巻き付けているので、両者は共生関係にあると言える。

ラッコの分布域(青色)

アシカ亜目クジラ目ジュゴン目といった他の海生哺乳類は、分厚い脂肪層を持つことで海中で体温を奪われることを防いでいるが、ラッコはこのような脂肪層を持たず、「綿毛」と呼ばれる柔らかい下毛が1平方センチあたり10万本以上密生している。水中に潜るときでも、綿毛の間に含まれた空気が断熱層となり、防寒の役目を果たしている。防寒効果を維持するため、ラッコは頻繁に毛づくろいをし、毛皮を清潔に保っている。

ラッコの毛皮は保温力に優れ、柔らかな手触りを持つため、最高級の毛皮として珍重された。

18世紀以降ロシア人極東に進出してきた理由の一つにラッコの毛皮採集が挙げられる。また乱獲が進んだため、20世紀初頭には絶滅寸前まで減少したが、1911年には国際的な保護条約(猟虎及膃肭獣保護国際条約)が締結され、その後生息数は徐々に回復していった。絶滅危惧IA類(CR)環境省レッドリスト)に指定されている。

シートン動物記によると、本来は海辺で生活する陸生動物であり、日光浴をしている群れをごく当たり前に見る事ができたらしい。その頃は人間に対する警戒心もなかったため、瞬く間に狩尽くされてしまい、現在のような生態になったと記されている。

1989年アラスカプリンスウィリアムス湾で超大型タンカー、「エクソン・バルディス号」が座礁し、27万バレル原油が流出するという事故があった。この事故によって約6000頭のラッコが死亡したとされる(少なくとも1016頭の死亡が確認されている)。ラッコはアザラシ等と比べると体が小さく皮下脂肪が相対的に薄いため、体毛が油で汚染されることで防寒効果が低下して凍死し、また毛の間に蓄えられた空気がなくなり浮力が減少して溺死したのである。

形態

体長は55-130cm、体重も40〜50kgを超すことがあり、イタチ科では最も大型の種である。体毛密度がたかく、哺乳類でも最も高い部類に入る。8億本もの体毛が全身に生えており、これは6平方cmの皮膚に人間の髪の毛すべてが生えていることになる。 体毛の中に空気を取り込み、寒さをしのいでいるので、毛繕いは欠かさない。全身をくまなく毛繕いするために柔軟な身体、皮膚をもっている。幼体の毛繕いは母親がする。

亜種

ラッコ

亜種として次の3種が知られている。体長、頭部、歯並びなどが異なっている[1][2]

  • アジアラッコ (チシマラッコ, common sea otter, Asian sea otter, Kuril Sea otter,Russian Sea otter, E. l. lutris) (Linnaeus, 1758):千島列島コマンドルスキー諸島、太平洋西部に生息する[1]。亜種の中で最も体長が大きく、頭部が広く、鼻が小さいことが特徴である[3]
  • カリフォルニアラッコ (southern sea otter, Californian sea otter, E. l. nereis) (Merriam, 1904):カリフォルニア州中部沿岸に見られる[1]。頭部が狭く長い。口吻 (rostrumが長く、歯が小さい[3]
  • アラスカラッコ (northern sea otter, Alaskan sea otter, E. l. kenyoni) (Wilson, 1991):アリューシャン列島、アラスカに住む[3]。オレゴン州などに人工的に移されている[1]。他の2種の中間ぐらいの外観で、下顎骨が長い。学名は、ラッコ研究者のKarl W. Kenyonにちなんで付けられたものだが、Kenyon自身はこれが亜種とは考えていなかった[4]

歴史

日本では平安時代には独犴の皮が陸奥国の交易雑物とされており、この独犴がラッコのことではないかと言われている。陸奥国で獲れたのか、北海道方面から得たのかは不明である。江戸時代の地誌には、気仙の海島に海獺が出るというものと、見たことがないというものとがあり、当時三陸海岸に希少ながら出没していた可能性がある[5]

かつて北海道襟裳岬周辺などにはラッコが生息していたが、明治時代の乱獲によってほぼ絶滅してしまった。このため、明治時代には珍しい動物保護法「臘虎膃肭獣猟獲取締法(明治四十五年四月二十二日法律第二十一号)」が施行されている。

現在でも時折、千島列島などから来遊してくるラッコが北海道東岸で目撃されることがあるが、定着するまでには至っていない。2003年頃から襟裳岬近海に一匹定着しているがウニなどを大量に食すので漁業被害が問題になっている。

保全状態評価

ラッコを題材にした作品

  • 『いたずらラッコのロッコ』(著者:神沢利子、児童文学)
  • 『いたずらラッコとおなべのほし』(著者:神沢利子、絵:長新太、児童文学)
  • 『海のけもの達の物語―オットセイ・トド・アザラシ・ラッコ』(著者:和田 一雄)
  • 『およげラッコぼうや』(著者:ナンシー・ホワイト・カールストローム、児童文学)
  • 『銀色ラッコのなみだ―北の海の物語』(著者:岡野 薫子、児童文学)
  • ぼのぼの』(著者:いがらしみきお)
  • 『ラッコの道標―ラッコが教えてくれた多様な価値観』(著者:中村 元)
  • 『ラッコ物語』(1987年 東宝映画)
  • 仮面ノリダー』(フジテレビ)石橋貴明扮するラッコ男が登場。

日本でラッコが見られる施設

日本における初のラッコの展示飼育は、1982年、伊豆・三津シーパラダイスによる。あまり大々的には宣伝がなされなかったためか、翌年(1983年)からの鳥羽水族館による飼育展示の方が一般的認知度が高いとされている。

ギャラリー

脚注

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  1. ^ a b c d "Enhydra Lutis" (). Animal Diversity Web. University of Michigan Museum of Zoology. 2007-11-24 閲覧。
  2. ^ Enhydra lutris (TSN 180547). ITIS. 2006年18 March参照.
  3. ^ a b c Wilson, Don. E. et al (1991 February). “Geographic Variation in Sea Otters, Enhydra lutris”. Journal of Mammalogy 72 (1): 22 - 36. DOI: 10.2307/1381977.
  4. ^ "Soundings: The Newsletter of the Monterey Bay Chapter of ACS". American Cetacean Society Monterey Bay Chapter (June 2007). 2008-01-22 閲覧。
  5. ^ 『封内土産考』、『仙台叢書』第3巻454頁。
  6. ^ Doroff, A. & Burdin, A. 2008. Enhydra lutris. In:2008 IUCN Red List of Threatened Species.
  7. ^ 環境省 「哺乳類レッドリスト 2007年版」 2007年8月(CSVファイル)。1998年版では情報不足(DD)環境省レッドリスト)に分類されていた。
ウィキメディア・コモンズ

参考文献

  • 里見藤右衛門『封内土産考』、1798年(寛政10年)頃。仙台叢書刊行会・編『仙台叢書』第3巻(1923年)に収録。

出典

関連項目

外部リンク