地理空間情報
地理空間情報(ちりくうかんじょうほう、英語: geospatial information)とは、地理・空間に関係づけられた情報を指す。「地理情報」、「空間情報」もほぼ同義である。
日本では平成19年8月29日に施行された、地理空間情報活用推進基本法(平成19年法律第63号)第2条第1項に定義されている用語で、次の情報を指す。
一説によれば、行政情報の約8割は上記の情報に該当する、つまり「地理空間情報」に相当するといわれている。
地理空間情報は、ある行動を計画・立案・実行する際に役立てることができる[1]。特に、2005年にハリケーン・カトリーナがアメリカ合衆国に襲来した際は、市民らが多くの被害情報をGoogle マップに寄せ、被害の全容が一目瞭然となったように災害時などの緊急対応で威力を発揮する[1]。
具体例
[編集]地理空間情報は日常生活の中に無数に存在している[2]。例えば、何気なく撮影した写真であってもどこで撮影したかが明らかな場合は地理空間情報であり、「近所のラーメン屋の味噌ラーメンは600円である」といった情報も地理空間情報である[2]。更に、道路・看板・建物・樹木といった地表面にあるありとあらゆるものは「位置」という地理空間情報を有している[2]。狭義には、地図・空中写真・統計などのデータや研究者や専門家らがGPS等を用いて取得したデータを地理空間情報という[2]。
利用と活用
[編集]身近にはカーナビゲーションシステムやインターネット上で提供される地図データがある[3]。行政では都市計画や固定資産の分野で[4]紙媒体の地図として利用されてきたが、2001年(平成13年)頃より「統合型GIS」の概念が登場し、従来のスタンドアローン・限られた人の利用[4]から、共通利用に移行した[3]。またウェブサイト上でハザードマップの公開を行ったり、住民から不法投棄や不審者情報を募るウェブGISを構築している地方公共団体もある[5]。国土地理院では、『基本測量に関する長期計画(平成二一年六月)』の中で、地理空間情報がもたらす新しい社会について、次のような具体像を展望している[6]。
民間では、行政の作成した地理空間情報に飲食店などの情報を付加した製品を販売したり、出店計画やマーケティングに利用する企業がある[5]。日本においては、日本マクドナルドがGIS(地理情報システム)を活用して出店計画を立て、成功を収めた例は有名である[7]。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 大竹一彦『最新版 2万5千分の1地図 ―地理空間情報時代の地図―』古今書院、2010年10月20日、340p. ISBN 978-4-7722-4142-7
- 大西宏治(2004)"地理情報システム(GIS)の授業実践:人文学部の例"富山大学総合情報基盤センター広報.1:10-13.
- 柴崎亮介 監修『地理空間情報活用推進基本法入門』日本加除出版、平成20年7月10日、250pp. ISBN 978-4-8178-1353-4
- 橋本雄一 編『地理空間情報の基本と活用』古今書院、2009年7月30日、174p. ISBN 978-4-7722-5236-2
- 赤渕明寛(2009)"自治体における統合型GIS構築".『地理空間情報の基本と活用』:97-105.
- 山下亜紀郎(2009)"GISの概念と歴史".『地理空間情報の基本と活用』:17-22.
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 地理空間情報クリアリングハウス(国土地理院)
- 地理空間情報ライブラリー(国土地理院)
- 基盤地図情報サイト(国土地理院)