印籠
印籠(いんろう)とは、薬などを携帯するための小さな容器のことを言う。当初は印を入れたことから印籠と称される。
平たい長方形をしており、素材は木製または金属製で3段から5段くらいに分割できるようになっている。各段の両脇に紐(緒締め=おじめ)を通して、落下防止用の根付けで留め、紐を帯に挟んで使用した。特に螺鈿や蒔絵などが施されたものもある。
ギャラリー
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石竹柄。18世紀。
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とんぼ。江戸中期。
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たくさんの猿を描いた“百猿図”的な図柄。江戸中期。
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非常に手の込んだ図柄が蒔絵によって表現されている。
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雲龍柄を螺鈿によって表現。幕末期。
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全面に南蛮人が描かれている。
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装着方法。根付によって帯に固定する。
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印籠の構造
転義
「いんろう」という言葉は、転じて以下の意味にも使われる。
- 建築や機械の分野では、外から見た接合面に隙間が無く、内部が位置決めや荷重を受ける働きを持つ構造をインローと呼ぶ。
- 日本料理用語で、野菜やイカなどの中心部に具を詰め込むことを印籠(射込み)と呼ぶ。稲荷寿司も、油揚げの中に飯を詰め込んだ印籠寿司の一種である(重金敦之『すし屋の常識・非常識』24p)。