占星術殺人事件

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御手洗潔シリーズ > 占星術殺人事件
占星術殺人事件
著者 島田荘司
発行日 1981年12月14日
発行元 講談社
ジャンル 推理小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 ソフトカバー
ページ数 277
次作 斜め屋敷の犯罪
コード ISBN 4-06-130820-3
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占星術殺人事件』(せんせいじゅつさつじんじけん)は、1981年に発表された島田荘司推理小説。著者のデビュー作であり、同作家の人気シリーズである御手洗潔シリーズの第1作である。

1980年に第26回江戸川乱歩賞に応募された『占星術のマジック』を改稿・改題した作品である。

なお、『占星術のマジック』は江戸川乱歩賞の第三次選考(最終候補)にまで残るも落選。(受賞作は、井沢元彦の『猿丸幻視行』)

島田荘司の持ち味ともいえる猟奇的な事件と、事件関係者の手記で始まる構成などによって、推理小説ファンをとりこにした。 なおトリックの価値観の尊重、及び、主人公御手洗を真に理解できる役者にしか彼を演じることは難しいという理由から、島田荘司は映像化を許可していない[1]

2014年1月、イギリスの有力紙『ガーディアン』で本作が「世界の密室ミステリーベスト10」の第2位に選ばれた[2]

あらすじ

1936年2月26日二・二六事件が発生したその日、猟奇的で難解を極める事件が起きた。画家の梅沢平吉が自宅の密室状態のアトリエで殺された。そして現場に残された遺書には怪奇な内容が記されていた。

それは若い6人の処女からそれぞれの星座に合わせて体の一部分を切り取り、それらを合成して完璧な肉体を持つ女性「アゾート」を作成するというものだった。

その後、6人の姉妹が全員殺され、それぞれ頭、肩、胸、腰、大腿部、下足部が切り取られた状態で発見された…。はたしてアゾートは作成されたのか? また、アゾートはどこにあるのか? そして犯人は誰なのか? 幾多の謎は解かれることなく、占星術殺人と名づけられたこの事件は、やがて迷宮入りとなった。

それから約40年後の1979年。飯田美沙子という女性が、御手洗潔の占星学教室にやってくる。亡くなった元警察官の父親・竹越文次郎の遺品を整理していたところ、自分こそが占星術殺人で切り取られた体を各地に運んだ人間なのだということを告白した手記を見つけたが、警察に持ち込むのはさすがにためらわれたため、探偵のような才能もあると評判の御手洗の元に持ってきたのだという。それまでほとんど占星術殺人のことを知らなかった御手洗だったが、これをきっかけに石岡和己からこの事件のあらましを改めて聞き、珍しく興味を示す。

登場人物

御手洗潔
占星術師。かなりの変わり者。
石岡和己
御手洗の親友。御手洗に占星術殺人の事を教える。

書誌情報

出版社 発行年月 ISBN
占星術殺人事件※初版第一刷のみ御手洗「清」・石岡「一美」表記。 講談社 1981年12月 ISBN 4-06-130820-3
占星術殺人事件 講談社ノベルス 1985年2月5日 ISBN 4-06-181168-1
占星術殺人事件 講談社文庫 1987年7月15日 ISBN 4-06-183371-5
占星術殺人事件 光文社文庫 1990年11月 ISBN 978-4334712426
The Tokyo Zodiac Murders IBCパブリッシング 2004年6月 ISBN 4925080814
島田荘司全集 I
占星術殺人事件 斜め屋敷の犯罪 死者が飲む水
南雲堂 2006年9月 ISBN 978-4523264217
占星術殺人事件 改訂完全版 講談社ノベルス 2008年1月11日 ISBN 978-4-06-182571-0
占星術殺人事件 改訂完全版 南雲堂 2008年2月 ISBN 978-4-523-26471-2
占星術殺人事件 改訂完全版 講談社文庫 2013年8月10日 ISBN 978-4-06-277503-8

脚注

関連項目

  • 金田一少年の事件簿(「異人館村殺人事件」で上記のトリックを流用したことが指摘され、問題になった)