北京通順競馬場

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北京通順競馬場
北京通顺赛马场
北京通順競馬場
施設情報
通称・愛称 北京ジョッキークラブ
所在地 中華人民共和国の旗中華人民共和国北京市通州区徐辛庄鎮内軍庄村
座標 北緯40度00分48.36秒 東経116度41分42.29秒 / 北緯40.0134333度 東経116.6950806度 / 40.0134333; 116.6950806座標: 北緯40度00分48.36秒 東経116度41分42.29秒 / 北緯40.0134333度 東経116.6950806度 / 40.0134333; 116.6950806
開場 2001年
閉場 2005年
管理・運用者 北京通順賽馬場有限公司
コース
周回 右回り
馬場 芝・ダート
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北京通順競馬場
各種表記
繁体字 北京通順賽馬場
簡体字 北京通顺赛马场
拼音 Běijīng Tōngshùn Sàimǎchǎng
発音: ベイジン トンシュン サイマーチャン
日本語読み: ペキンつうじゅんさいばじょう
英文 Beijing Jockey Club
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北京通順競馬場(ペキンつうじゅんけいばじょう)は、中華人民共和国北京市通州区にあった競馬場[1]2001年に開場したが[2][3]2005年に開催停止された[4][5][6]

歴史[編集]

北京通順競馬場の母体は、1998年香港企業と大陸企業の合弁で北京に設立されたサラブレッド生産牧場の北京華駿育馬有限公司(簡体字: 北京华骏育马有限公司)で、実質的なオーナーは香港の実業家、鄭榕彬(Y P Cheng)であった[4][5][6]。当時、中国では改革開放の流れに乗って広州競馬場など各地で馬券発売を伴う競馬が行われてサラブレッドの需要拡大が期待されており[5]、北京華駿牧場はメイショウドトウの父ビッグストーンをはじめとする種牡馬繁殖牝馬を持ち込んで年産600頭規模の生産を行っていた[2][注釈 1]。ところが、2000年に中国当局は取締りを強めて各地の競馬場を閉鎖し[5]、北京華駿牧場は生産馬の販路の見通しを失った。そこで、競馬の認知度を高めて馬の買い手を開拓するために2001年に北京通順賽馬場有限公司(簡体字: 北京通顺赛马场有限公司)を設立して自ら競馬場を開設し[6]2002年8月4日から週に1〜2回の競馬開催を開始した[9]。競馬場の施設は国際水準を備えたアジア最大級を標榜しており[2]騎手調教師は中国国内のほか、香港マカオオーストラリアニュージーランドアイルランドフランスカナダなどから招請され[10]検量裁決などのシステムが整った競馬が行われていた[11]

競走開始当初から勝ち馬当て推理くじ(中国語: 竞猜)をゲームの名目で実施しており、2004年シーズンに売り上げの20パーセントを競馬場から納税する条件で税務当局の口頭許可を得て控除率30パーセントの馬券発売に踏み切ったが、10月に公安当局から競馬開催の停止を口頭で命令され[5]、「賭博性のある競馬に関する捜査に協力するため」としてシーズン途中で開催を自粛[12]2005年に北京市の許可を得て競馬を再開し、非営利事業を標榜して馬券売り上げ収益を中国紅十字会に寄付したが、同年9月に公安局から2度目の口頭による停止命令を受け[5]、9月24日の開催を最後に競走は施行されなかった。11月のシーズン終了告知を最後にホームページの更新も停止され[13]、同月に外国人の調教師や騎手を含む700人以上が解雇された[6][注釈 2]。運営会社は口頭による停止命令の撤回を求めて人民法院に提訴したと報じられたが[5]、そのまま競馬が再開することはなかった。

開催停止後も残っていた競馬場の施設は、2019年頃に撤去工事が行われた[14]

コース[編集]

外側から1周2298m芝コースのAトラック[注釈 3]、1周2005m芝コースのBトラック、1周1850mダートコースのSトラックの3本のコースがあった[2]

設備[編集]

北京通順競馬場は160ヘクタール(1.6平方キロメートル)の敷地面積があり[2]厩舎競走用設備、高性能テレビ放映システム、血液・DNA・ドーピング検査設備などを備えていたが、メインスタンドは計画段階のまま建設されていなかった[3]。会員限定の観覧席として、予約制・有料のVIPルームがあった[15]

また、場内には総合馬術の練習場があり、2008年北京オリンピックに向けた馬術チームの練習に利用されていた[3]。競馬場のホームページでは北京オリンピックの馬術競技会場を目指して活動しているとされていたが[2]、実際には香港が共同開催都市に指定されて沙田競馬場などが馬術競技会場となり[16]、北京通順競馬場は使用されなかった。

競走[編集]

競馬の開催時期は毎年3月から11月[3]。当初から週に1〜2回の競馬開催が行われており[9]、末期には毎週土曜日に約10競走が施行されていた[2]。フルゲートは14頭であり[17]、馬名は英語表記と漢字表記の2通り存在する[18]など、香港の競馬に似ていた。

G1からリステッドまでの重賞とその他の競走に競走は体系化されており、2004年にG1は6競走設定されていた[19]

2004年のレーシングプログラムによれば競走の施行距離は1600m以下が中心で、2000m以上は少ないが、隔週で年に7競走程度、4000mから12000mの長距離競走が行われた[20][21][22]

競走は北京電視台のスポーツ専門チャンネル(BTV-6)で放送されていた[23]

馬券も発売されていたが、中国では賭け事は違法で、公安当局も馬券発売を伴う競馬の開催を禁止する通達を出しており[5]、表向きの広報はなく、ホームページの初心者向けの案内ではその存在に触れられていなかった[23]。わずかに入会案内に会員限定サービスとしてサービス券(中国語: 服务券)の当たる勝ち馬当て推理活動(竞猜活动)への参加ができる旨の記載が確認できる[24][注釈 4]

アクセス[編集]

北京地下鉄八通線通州北苑駅から924号線バスに乗り換え徐辛庄バス停下車、タクシーで10分[25]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 1998年には北海牧場を経営する日本企業の北海グループも北京龍頭牧場を設立している[7][8]
  2. ^ 英紙ガーディアンは、2005年11月に北京通順競馬場の経営者が1億ドルを投資した競走馬生産・競馬馬事業に馬券発売合法化の見込みが立たないことから見切りをつけ、600頭以上の競走馬や繁殖牝馬が殺処分されているというスクープ報道を行った[4]。この問題で競馬場は中国内外から非難を受けたが、競馬場側は計画的な廃用馬の殺処分を行なったのみであるとして事業に見切りをつけて馬を処分したことを否定した[5][6]
  3. ^ 1周2280mとするページもある[3]
  4. ^ 馬券の名目は「推理ゲーム券」(中国語: 竞猜券)であり、クーポン(赠券)との交換で行われていたことが開催停止の払い戻しに関する告知からわかる[13]

出典[編集]

  1. ^ 联系我们 - 北京通顺赛马场有限公司 - ウェイバックマシン(2005年11月19日アーカイブ分)
  2. ^ a b c d e f g About BJC - ウェイバックマシン(2006年4月21日アーカイブ分)
  3. ^ a b c d e 马场简介 - 北京通顺赛马场有限公司 - ウェイバックマシン(2005年11月19日アーカイブ分)
  4. ^ a b c “Huge cull of racehorses at Beijing track”. The Guardian. (2005年11月22日). https://www.theguardian.com/sport/2005/nov/22/horseracing.gdnsport3 2023年11月23日閲覧。 
  5. ^ a b c d e f g h i 赛马试水博彩屡屡碰壁. 中国青年报. (2005年12月8日). http://zqb.cyol.com/content/2005-12/08/content_1214884.htm 2023年11月23日閲覧。 
  6. ^ a b c d e 京馬場澄清 無撤資殺馬. 香港文匯報. (2005年12月11日). http://paper.wenweipo.com/2005/12/11/HK0512110103.htm 2023年11月23日閲覧。 
  7. ^ Welcome to longtungfarm.com - Company Introduction - ウェイバックマシン(2002年6月4日アーカイブ分)
  8. ^ 北海株式会社 - ウェイバックマシン(2003年3月20日アーカイブ分)
  9. ^ a b 马场简介 - 北京通顺赛马场有限公司 - ウェイバックマシン(2002年11月22日アーカイブ分)
  10. ^ アーカイブ 2003年4月5日 - ウェイバックマシン
  11. ^ 合田直弘 (2003年9月9日). “週刊サラブレッド・レーシング・ポスト”. netkeiba. 2023年11月25日閲覧。
  12. ^ 北京通顺赛马场有限公司 - ウェイバックマシン(2004年12月6日アーカイブ分)
  13. ^ a b 北京通顺赛马场有限公司 - ウェイバックマシン(2005年11月19日アーカイブ分)
  14. ^ 高木毅「続・日本で絶滅したノーザンテースト系が中国で生きていた!」『サラブレ』第25巻第11号、KADOKAWA、2019年11月、162-165頁。 
  15. ^ Membership - ウェイバックマシン(2005年9月15日アーカイブ分)
  16. ^ 北京オリンピック2008 競技会場 Hong Kong Olympic Equestrian Venue (Beas River & Shatin)”. 日本オリンピック委員会. 2023年11月23日閲覧。
  17. ^ 排位表 2005/10/1 - ウェイバックマシン(2006年2月22日アーカイブ分)
  18. ^ F028 马匹资料 - ウェイバックマシン(2005年4月4日アーカイブ分)
  19. ^ 北京通顺赛马场2004年度赛季赛事举办分布图 - ウェイバックマシン(2004年6月4日アーカイブ分)
  20. ^ 北京通顺赛马场二零零四年赛事程序 - ウェイバックマシン(2004年6月4日アーカイブ分)
  21. ^ 北京通顺赛马场二零零四年赛事程序 - ウェイバックマシン(2004年8月3日アーカイブ分)
  22. ^ 北京通顺赛马场二零零四年赛事程序 - ウェイバックマシン(2004年12月20日アーカイブ分)
  23. ^ a b 赛马场的一天 - ウェイバックマシン(2006年6月3日アーカイブ分)
  24. ^ 会员事务 - ウェイバックマシン(2005年11月27日アーカイブ分)
  25. ^ 马场地图 - ウェイバックマシン(2005年10月30日アーカイブ分)

外部リンク[編集]