公開空地

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公開空地(こうかいくうち)とは、オープンスペースの一種。建築基準法総合設計制度で、開発プロジェクトの対象敷地に設けられた空地のうち、一般に開放され自由に通行または利用できる区域。

有効容積に応じて、容積率割増や高さ制限の緩和が受けられる。

概要

公開空地の条件にされるのが、一般に開放され、歩行者が自由に通行したり利用したりできるようにすることや道路側の遮断を行わずに周辺環境の向上に努めることである。なお、営利目的な施設等は長期間にわたって常設占有はできないことになっているが、イベントなどの一時的な利用は可能とされる。

公開空地は建築や都市用語である、都市空間における建築物と建築物のあいだ、住宅地における敷地と建物の間等の空間的な間である「つなぎ空間」をも意味する。公開空地のほかには、都市空間では道路広場、アプローチ、コモンスペース、などがあげられる。

アメリカでは一般に開発を促進するための地域制度にインセンティブゾーニングがあり、地方行政がゾーニング税制を一定の目的で静穏率や建物用途等を緩和させることによって、開発者に利益を与える代わりに、公開空地確保などの配慮、公共施設調整や歴史的建物の保全等の公益利益を引き出す手法として導入されている。日本でも総合設計制度の公開空地確保などはこれに該当し、その他に東京駅近辺の容積権移転や歩行者道路などの整備による緩和ボーナス等が行われている。

1970年以降は、新宿副都心の都市開発にともない、超高層ビルが建設計画がなされ、高層ビルなどの高容積建築物の入口周辺は、出勤時に生じるピーク通行量人口の過密を処理するにたる緩衝空間としてのオープンスペースが必要であることから、ビル足もとに行政指導による公開空地が生みだされ、空間としての憩いを演出していった。

三井ビルの三井55広場は、サンクンガーデン(沈床園)となって囲まれた空間を創出し、ケヤキの緑陰や滝などがくつろぎをもたらし、テーブル、ベンチが飲食可能な空間を演出している。その他雑木林風の京王プラザホテル、緑陰のなかの丸いベンチに特色がある野村ビル、建築内部の空間であるNSビルアトリウム、住友ビル他、各ビルの足元には公開空地が設けられている。

関連項目