九五式野砲

制式名	九五式野砲
重量	1108kg
砲口径	75mm
砲身長	2325mm
砲口初速	520m/s
最大射程距離	10700m
俯仰角	-8～+43度
水平射角	左右25度
使用弾種	九四式榴弾 九五式破甲榴弾 九七式鋼性銑榴弾 三八式榴霰弾 九〇式尖鋭弾 九〇式榴霰弾 九〇式焼夷弾 九〇式照明弾 九〇式発煙弾 　　　　　　等
製造国	大日本帝国
総生産数	約200門

九五式野砲とは1935年（昭和10年 皇紀2595年）に完成し、1937年（昭和12年）に日本陸軍が制式採用した野砲。

概要

九〇式野砲の重量が重過ぎるため、参謀本部の主導により新規に開発された軽量野砲である。

九〇式野砲は馬匹牽引の場合、従来の改造三八式野砲と同じ馬6頭輓曳では、当時考えられていた沿海州方面の森林地帯や湿地帯などの錯綜する地形を突破することはできそうもなかった。また、機械化牽引にできれば問題は解決するのだが、各師団の野砲兵連隊に配備せねばならず、必然的に多数を整備せねばならないという野砲の性質がそれを阻んだ。野砲兵連隊に牽引車をあまねく配備し、それを維持し補給することもまた当時の陸軍にとっては過大な負担であり、ひいては日本の経済力や技術力などの国力面から許容できる限度を超えていたのである。

実施部隊の長射程野砲を望むという言い分はまさしくもっともなものではあったが、射程を多少減らしてでも、改造三八式野砲の機動性を引き継いだ野砲が、陸軍としてはどうしても必要と思われたのである。この経緯は現代の目から見てもわかりにくいものだが、本砲を鹵獲した米軍としても不可解なものであったと見えて、九〇式野砲よりも新型であるにもかかわらず軽量であること以外は一切性能的に優るところがない点をして、四一式騎砲の後継砲ではないかと推定している。

1933年（昭和8年）10月7日の陸軍軍需審議会での建議に基づき、同年11月29日付陸密第608号により試作開始が発令された。改造三八式野砲の更新は急を要する問題と考えられたため設計作業は急がれ、1934年（昭和9年）8月には早くも試製砲2門を完成させるというスピード開発となった。若干の重量過大と射撃時の安定不足が見られたため改修を施し、1935年（昭和10年）5月に改良砲が完成、実用試験を経て優秀と認められ、1937年（昭和12年）に仮制式を経て制式制定を受けた。弾薬は完全弾薬筒方式で、三八式野砲・四一式騎砲・改造三八式野砲と共通であり、薬室長＝薬莢長の違いから、弾頭部を除いては九〇式野砲・四一式山砲・九四式山砲の弾薬との互換性は無い。

砲そのものの価格が安く、重量は改造三八式野砲よりもさらに軽く、維持費の点でも砲身命数も約16,000発と九〇式野砲の3.5倍に達するなど、経費節約型野砲としては上々の出来栄えと言えた。

しかし、生産数は200門あまりと振るわず、改造三八式野砲を更新しきることもできなかった。昭和15年以降、陸軍の野砲整備は九一式十糎榴弾砲の生産に集中し、75mm級野砲は機動九〇式野砲を除き既生産分をもって縮小されたことによる。

九五式野砲は新鋭砲でありながら二線級の装備として、主として中国戦線に回された。前線からの評判そのものは悪いものではなかったと伝えられる。

参考文献

• 竹内昭・佐山二郎『日本の大砲』、出版協同社、1986年、ISBN 4-87970-042-8
• アジア歴史資料センター、『試製95式野砲数量表等』【 レファレンスコード 】 A03032067800

関連項目

• 九〇式野砲
• 四一式騎砲
• 大日本帝国陸軍兵器一覧