三条実房

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三条実房
時代 平安時代末期 ー 鎌倉時代初期
生誕 久安3年(1147年)
死没 嘉禄元年8月17日1225年9月20日
改名 実房 → 清空(法名)
別名 三条入道左府
官位 左大臣正二位左近衛大将
主君 鳥羽法皇近衛天皇後白河天皇二条天皇六条天皇高倉天皇安徳天皇後鳥羽天皇土御門天皇順徳天皇仲恭天皇後堀河天皇
氏族 藤原北家閑院流三条家
父母 父:三条公教、母:藤原清隆の娘
兄弟 琮子後白河天皇女御)、藤原実綱、藤原実国、女子(松殿基房の室)
藤原経宗の娘
公房公宣公氏公俊、女子(徳大寺公継の室)ら
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三条 実房(さんじょう さねふさ)は平安時代末期および鎌倉時代公卿左大臣正二位三条入道左府と号す。父は内大臣三条公教。母は権中納言藤原清隆の娘。室は左大臣藤原経宗の娘。子に公房公宣公氏公俊などがおり、子孫から多くの三条家庶流が生まれた。

経歴

以下、『公卿補任』の内容に従って記述する。

仁平2年(1152年)1月9日、叙爵[1]。仁平4年(1154年)1月7日、従五位上に昇叙[2]保元元年(1156年)1月27日、侍従に任ぜられる。9月17日、左少将に任ぜられる。11月28日、正五位下に昇叙[3]。保元2年(1157年)1月24日、美濃介を兼ねる。11月24日、禁色を許される[4]。保元3年(1158年)1月6日、従四位下に昇叙。3月13日、右中将に転任。11月26日、従四位上に昇叙。平治元年(1159年)1月3日、正四位下に昇叙[5]。永暦元年(1160年)5月10日、蔵人頭に補される。10月3日、従三位に叙される。右中将はもとの如し。長寛元年(1163年)1月2日、正三位に昇叙。同月24日、但馬権守を兼ねる。
仁安元年(1166年)6月6日、参議を経ずに権中納言に任ぜられる。9月4日、帯剣を許される。仁安2年(1167年)1月28日、従二位に昇叙[6]。2月11日、中納言に転正。仁安3年(1168年)8月10日、権大納言に任ぜられる。承安元年(1171年)4月21日、正二位に昇叙(建春門院去年未給)。寿永元年(1182年)8月14日、皇后宮大夫を兼ねる[7]。寿永2年(1183年)4月5日、大納言に転正。文治元年(1185年)8月9日、母の喪に服す。
文治2年(1186年)11月28日、右近衛大将を兼ねる。文治3年(1187年)6月28日、皇后亮子内親王が女院(殷富門院)となったため皇后宮大夫を止める。文治4年(1188年)10月14日、左近衛大将に転任。文治5年(1189年)7月5日、任大臣宣旨があり、同月10日に右大臣に任ぜられる。左大将は元の如し。12月、左大将を辞した。建久元年(1190年)7月10日、左大臣に転任。建久6年(1195年)9月25日、左大臣を辞する上表[8]をおこなったが返却された。建久7年(1196年)3月23日、病により上表して左大臣を辞した。4月25日、出家。嘉禄元年(1225年)8月19日、薨去。

歌人として

実房は同時代に歌人として一定の評価を受けていたようで、『千載和歌集』に作者名「右近衛大将実房」として次の6首が入集している。

90番    花留客といへる心をよみ侍りける

  • 散りかかる花のにしきは着たれども帰らんことぞ忘られにける


140番    暮見卯花といへる心をよみ侍りける

  • 夕月夜ほのめく影も卯の花の咲けるわたりはさやけかりけり


362番

  • 清見潟関にとまらで行く船はあらしのさそふ木の葉なりけり


458番

  • 跡もたえしをりも雪にうづもれて帰る山路にまどひぬるかな


525番   住吉社歌合とて人々よみ侍りける時、旅宿時雨といへる心をよみ侍りける

  • 風の音に分きぞかねまし松が根の枕にもらぬしぐれなりせば


947番

  • 恋ひわぶる心は空に浮きぬれど涙のそこに身は沈むかな

系譜

脚注

  1. ^ 媜子内親王当年御給。
  2. ^ 院当年御給。
  3. ^ 鳥羽院当年御給。
  4. ^ 父公教が内大臣に任ぜられたあと。
  5. ^ 朝観行幸時、女院御給。
  6. ^ 行幸時に院司。
  7. ^ 立后の日。
  8. ^ 重厄と天変による。

参考文献

  • 近藤敏喬 編『宮廷公家系図集覧』、東京堂出版、1994年
  • 橋本政宣 編『公家事典』、吉川弘文館、2010年
  • 公卿補任』(新訂増補国史大系)吉川弘文館 黒板勝美、国史大系編集会(編) ※ 永暦元年(1160年)に実房が非参議従三位となった時以降の記事。
  • 尊卑分脈』(新訂増補国史大系)吉川弘文館 黒板勝美、国史大系編集会(編) ※「三条実房」の項。
  • 千載和歌集』、久保田淳校注、岩波文庫


関連項目