ヴァイオリンソナタ (ラヴェル)
クラシック音楽 |
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《ヴァイオリン・ソナタ》は、モーリス・ラヴェルが1922年から1927年にかけて作曲したヴァイオリン・ソナタ。ラヴェル最後の室内楽曲である。5年にわたる創作期間について、はっきりした事情は分かっていない。ラヴェルは「無駄な音符を削るのに」これだけの年数が必要だったと断言している。また別の場面では、ヴァイオリンという楽器はラヴェルにとって、ピアノと「本質的に相容れないもの」と思われたとも訴えている。
初演は1927年5月30日にパリのサル・エラールにて、作曲者自身のピアノとジョルジェ・エネスクのヴァイオリンによって行われた。親友の女性ヴァイオリニストのエレーヌ・ジュルダン=モランジュに献呈されたが、当時の彼女はリューマチを患っていて初演で演奏することが出来なかった。
以下のように3楽章で構成され、全曲を通じて15分と簡潔にまとめられている。
古典的な緊密で厳格な形式が追究されている反面、後輩のダリウス・ミヨーに影響されて複調を積極的に採っている。中間楽章は、(たとえばジョージ・ガーシュウィンに伴われてラヴェルがしばしば訪れたニューヨークのナイト・クラブを髣髴させる)ジャズの雰囲気が加味されている。第3楽章は超絶技巧が要求され、ヴィルトゥオーゾのヴァイオリン奏者には腕の見せ所となっている。
遺作のヴァイオリン・ソナタ(1897年)
ラヴェルはすでに1897年にもこの楽種に手を染め、作曲者自身のピアノとエネスクのヴァイオリンで初演されているが、存命中には出版されなかった。作曲者の生誕100周年の1975年に再発見され、ニューヨークで蘇演されるまで、永らくその実像を知られてはいなかった。晩年の多楽章の活気あるソナタとは対照的に、哀調を帯びた瞑想的な曲調を持つディーリアス風の作品でイ短調、長大な単一楽章で構成されている(全曲を通して演奏するのに17~18分を要する)。現在は晩年のソナタと区別するために、《遺作のヴァイオリン・ソナタ》《1897年のヴァイオリン・ソナタ》などと呼ばれている。