マリーゴールド

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マリーゴールド
フレンチ・マリーゴールド Tagetes patula
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : キク亜綱 Asteridae
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
亜科 : キク亜科 Asteroideae
: コウオウソウ属 Tagetes
英名
marigolds
  • 本文参照

マリーゴールド英語: marigolds学名Tagetes)は、キク科コウオウソウ属のうち、草花として栽培される植物の総称。また、花の色や形がよく似ていて、葉にトマトのへたのような青臭いにおいのあるキンセンカを指すことがある。意は「聖母マリア黄金の花」。花言葉は「信頼」、「悲しみ」、「嫉妬」、「勇者」、「悪を挫く」、「生命の輝き」、「変わらぬ愛」、「濃厚な愛情」。

この項では、コウオウソウ属(マンジュギク属)について説明する。

属名の由来

エトルリアの神ターゲスTagesの名前から。

性状

アメリカ大陸の熱帯と温帯にかけて約50種が分布し、ほかにアフリカに1種ある。園芸種として栽培されるものには、フレンチやアフリカンを冠するものがあるが、すべてメキシコ原産でアフリカやフランスとは無縁である。 一年草が多いが、一部多年草や亜灌木もある。茎は高さ30〜120cm、葉は濃い黄緑色、羽状複葉が対生する。全草に特有の臭気があるものが多い。5〜10月にかけて直径2~5cmぐらいの黄・橙・暗赤色などの美しい頭花を茎の先に頂生する。近年改良されたセンジュギクの一代交配種では、花径が15cmに達するものもある。観賞目的の栽培が普通であるが、根に線虫の防除効果があるので作物の間などに植えられることもある。線虫の防除効果は、植物自身の合成するα-terthienylをはじめとした化合物によるものとの説が有力だが、共生する線虫捕食菌の働きのためだという説も浮上している。

異臭が激しく、有毒植物と誤解されていた時期もある。ジョン・ジェラードは、花を噛んだ少年の唇が炎症を起こした、猫に与えたところ、猫が死んでしまった、などの話を伝えている。ウィリアム・ハンベリーも匂いが不快であると言及し、ジョン・パーキンソンは、花の色など見た目の美しさがなかったら庭に植えられる事は無かっただろうと推測している。嫉妬の象徴とみなされることもある。

主な種

アフリカン・マリーゴールド Tagetes erecta
和名:センジュギク(千寿菊)、サンショウギク(山椒菊)
フレンチ・マリーゴールド Tagetes patula
和名:コウオウソウ(紅黄草)、クジャクソウ(孔雀草)、マンジュギク(万寿菊)
メキシカン・マリーゴールド Tagetes tenuifolia
和名:ホソバコウオウソウ、ヒメコウオウソウ
レモン・マリーゴールド Tagetes lemonii

和名の千と万は、大きさではなく開花期の長さなので、タネの袋に書いてあるように、 T. erecta のほうを万寿菊にするのは誤りである。また、すべて原産地はメキシコで、フランスやアフリカ大陸には自生していない。導入の過程で誤謬により命名されたものと考えられる。アフリカン・マリーゴールドは16世紀初頭にスペインに輸入され、ヨーロッパに帰化した。フレンチ・マリーゴールドは、最初パリの庭園に植えられ、そこからヨーロッパ全域に波及した。日本には江戸時代、寛永年間に渡来した。学名のタゲテスはエトルリア人に占術を伝授した神話の人物ターゲス(Tages)に由来する。

なお日本には自生していないが、シオザキソウT. minuta )が一部帰化している。

成分

この花の花びらから抽出されたキサントフィル脂肪酸エステル混合物に含まれるヘレニエンという色素は暗順応改善薬の原料として用いられている。第二次世界大戦中にイギリス軍が「ブルーベリーのおかげで目が良くなった」という嘘の宣伝を流し、これを信じたドイツバイエル社がブルーベリーを上回る効果を持つものを探したところ、マリーゴールドの花びらから抽出した脂肪酸エステル混合物に高い効果があることを発見し、ヘレニエンを有効成分とする暗順応改善薬アダプチノール」が作られた。この薬は現在でも目の薬として使用されている。

栽培

春播きの一年草で、発芽適温は比較的低いため、暖かい地方なら、3月中旬頃に室内でまくと、小さな万寿菊のほうは、1か月も経たないうちに花が見られる。タネは長さ数ミリの、象牙色と黒のツートンカラーの針状で、発芽適温を守ればよく発芽する。暖地では、夏の暑さや蒸れに注意が必要である。種を少し取っておき、8月初め頃にまいてやると、また秋に開花する。

文化

聖母マリアの祭日に咲いていたため「マリア様の黄金の花」とも呼ばれている。

メキシコでは死者の日の祝祭を彩る花として大量に栽培される。

ギャラリー

参考文献