マツカサウオ

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マツカサウオ
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
上目 : 棘鰭上目 Acanthopterygii
: キンメダイ目 Beryciformes
: マツカサウオ科 Monocentridae
: マツカサウオ属 Monocentris
: マツカサウオ M. japonica
学名
Monocentris japonica
(Houttuyn, 1782)
和名
マツカサウオ
英名
pinecone fish

マツカサウオ(松笠魚 Monocentris japonica)は脊索動物門条鰭綱棘鰭上目キンメダイ目マツカサウオ科に属する魚類の一種である。

分布

北海道以南の日本太平洋日本海沿岸から東シナ海琉球列島を挟んだ海域、世界ではインド洋、西オーストラリア沿岸のやや深い岩礁地域に生息する。

特徴

本種は発光魚として知られているが、それが判明したのは意外に遅く、1914年富山県魚津市魚津水族館で停電となった時、偶然見つけられたものである。

本種の発光器は下顎に付いていて、この中に発光バクテリアを共生させているが、どのように確保するのかは不明である。薄い緑色に発光し、日本産はそれほど発光力は強くないが、オーストラリア産の種の発光力は強いとされる。しかし、発光する理由まではまだよく判っておらず、チョウチンアンコウなどのように餌を惹きつけるのではないかという可能性がある。

夜行性で、体色は薄い黄色だが、生まれたての幼魚は黒く、成長するにつれて次第に黄色味を帯びた体色へと変わっていくが、成魚になると、黄色味も薄れ、薄黄色となる。昼間は岩礁の岩の割れ目などに潜み、夜になると餌を求めて動き出す。

棘を張り出すマツカサウオ(交差法による立体写真)

背鰭と腹鰭は強力な棘となっており、外敵に襲われた時などに背鰭は前から互い違いに張り出して、腹びれは体から直角に固定することができる。生きたまま漁獲後、クーラーボックスで暫く冷やすとこの状態となり、魚を板の上にたてることができる。またこの状態の時には鳴き声を聞くこともできる。

和名の由来通り、マツの実のようにややささくれだったような大きく、固い鱗が特徴で、その体は硬く、鎧を纏ったような姿故に英語ではKnight FishArmor Fishと呼び、パイナップルにも似た外観からPinapple fishと呼ぶときもある。

日本でもその固い鱗に被われた体からヨロイウオ、鰭を動かすときにパタパタと音を立てることからパタパタウオとも呼ぶ地方もある。

体は比較的小さく、成魚でもせいぜい15cm程で、体に比べ、目と鱗が大きく、その体の構造はハコフグ類にも似ている。そして、その体の固さから動きは遅く、遊泳力は緩慢で、体の柔軟性も失われている。

餌は主に夜行性のエビなどの甲殻類だといわれる。

利用法

本種はあまり漁獲されないことから、経済効果にはそれほど貢献しないものの、食用にされている。

硬い体は包丁が通らないが、5~10分ほど煮たり、加熱すると鱗が取れ、中の肉を食べやすくなる。白身でやや柔らかく、美味な食感である。

緩慢な動きがユーモラスなので、水族館で飼育されたり、内臓を取って干した個体を置物として売る場合もある。