ベサメ・ムーチョ
『ベサメ・ムーチョ』(Bésame mucho)は、スペイン語の歌で、1940年にメキシコのコンスエロ・ベラスケス(Consuelo Velázquez)によって書かれた。 彼女はこの曲を、16歳の誕生日前に作った。
インスピレーションと翻訳
ベラスケス自身によれば[1]、この曲を書いた時点で彼女はまだキスを未経験で、キスとは罪深いもののように思えたという。
スペインのエンリケ・グラナドスによる1916年のオペラ『ゴイェスカス』のアリア『嘆き、またはマハと夜鳴きうぐいす』の影響を受けている[2]。
歌詞は、サニー・スカイラーにより英訳された。「ベサメ・ムーチョ」のフレーズは、スペイン語で「私にたくさんキスをして」という意味になる。 『ベサメ・ムーチョ』の翻訳曲名は、"Kiss Me Much"、"Kiss Me a Lot"、"Kiss Me Again and Again"、"Embrasse-Moi"、"Stale Ma Bozkavaj"、"Suutele minua"、"Szeretlek én" などが知られている。
オリジナルの歌詞とその意味
Bésame, bésame mucho,
Que tengo miedo perderte, perderte después.
Como si fuera esta noche la última vez.
Bésame, bésame mucho,
私にキスをして、たくさんキスをして
あなたを失うのが怖い、この後あなたを失うのが怖い
今夜が最後かもしれないから
私にキスをして、たくさんキスをして
Quiero tenerte muy cerca,
Yo ya estaré lejos, muy lejos de tí.
Mirarme en tus ojos, verte junto a mí.
Piensa que tal vez mañana
あなたを抱きしめたい
とても遠い遠いところへ行かなければならないから
あなたの目を見て、私の隣にいるあなたを
私はたぶん明日あなたと別れ
Bésame, bésame mucho,
Que tengo miedo perderte, perderte después.
Como si fuera esta noche la última vez.
Bésame, bésame mucho,
私にキスをして、たくさんキスをして
あなたを失うのが怖い、この後あなたを失うのが怖い
今夜が最後かもしれないから
私にキスをして、たくさんキスをして
歌詞について
多くの演奏では、オリジナルの " perderte despues " の代わりに、" perderte otra vez " の歌詞を使う。 "TV Mexicana"[1] のビデオではコンスエロ・ベラスケス自身がピアノを弾いているが、この時の歌手は " perderte depues " と歌っている。
" perderte despues " とは、「将来あなたを失う」という意味である。 彼女がこの曲を書いた時は15歳だったことを考慮すれば、この文脈は、彼女の経験の少なさや無邪気な感覚から来るものであろう。 " perderte otra vez " であれば、「再びあなたを失う」という意味になる。 より経験豊富な大人の観衆を意識して、修正されたものと想像される。
評価
初めて『ベサメ・ムーチョ』をレコーディングしたのはエミリオ・トゥエロだが、その後多くのアーティストにレコーディングされた。例えば、ザ・ビートルズによってロックアレンジされたバージョンが1995年に発売されたザ・ビートルズ・アンソロジー1に収録されている。
『ベサメ・ムーチョ』は、多くの映画のサウンドトラックに使用されている(「アリゾナ・ドリーム」、「モスクワは涙を信じない」、「JUNO/ジュノ」、「モナリザ・スマイル」、「Great Expectations」、「A toda máquina」、「Moon Over Parador」、「The Naked Gun 2½: The Smell of Fear」、「In Good Company」、「Paid」、「Mivtza Savta」、「Ljubav i drugi zločini」、「サンタ・サングレ/聖なる血」など)。
2007年、作曲・編曲家でジャズ・トロンボーン演奏家のスティーブ・ウィーストは、グラミー賞最優秀インスタルメンタル・アレンジメント賞にノミネートされたが、これはメイナード・ファーガソンの The One and Only Maynard Ferguson でレコーディングした『ベサメ・ムーチョ』を対象としたものである。
脚注