ハーフェズ
ハーフェズ | |
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18世紀ペルシアの細密画に見えるハーフェズの肖像 | |
誕生 |
フワージャ・シャムスッディーン・ムハンマド・イブン・ムハンマド・ハーフェズ・シーラーズィー 1325年/26年頃 イラン、シーラーズ |
死没 | 1389年/90年頃 |
墓地 | イラン、シーラーズ |
職業 | 詩人 |
活動期間 | ムザッファル朝 |
ウィキポータル 文学 |
フワージャ・シャムスッディーン・ムハンマド・イブン・ムハンマド・ハーフェズ・シーラーズィー(ペルシア語: خواجه شمسالدین محمد حافظ شیرازی、 Khwāja Shams al-Dīn Muḥammad Ḥāfiẓ Shīrāzī、1325年 - 1389年)は、イランの詩人。生年は1326年、没年は1390年という説もある。
「ハーフェズ」という言い方はどちらかというと現代ペルシア語的な読み方であり、黒柳恒男訳『ハーフェズ詩集』(東洋文庫)以降、日本では「ハーフェズ」(Hafez/Ḥāfeẓ)で定着した感がある。海外では(ハーフィズ)」ともいう。
経歴
イラン南西部ファールス地方の主都シーラーズで生まれ育ち、生涯この地を離れることはなかった。幼い頃に父を亡くし、母は女手一つで彼を育てた。青年期にはファールスを支配したインジュー朝のアブー・イスハークに、壮年期にはムザッファル朝のシャー・シュジャーに宮廷詩人・側近として仕えた。
ハーフェズの存在は、その抒情詩とともに、ペルシア語圏では知らない人はいない「聖なる存在」として人々の生活に深く根付いている。ガザル詩人の最高峰であり、サアディー、ウマル・ハイヤーム、ハージュー・ケルマーニーと並ぶ四大詩人の一人に数えられる。
現在、故郷シーラーズには「ハーフェズ廟」が建っており、詩が刻まれた石板が設けられている。当地の観光スポットとして多くの人々が訪れる。
西暦10月12日(イラン暦メフル月20日)は「ハーフェズ記念日」とされている。
作品
詩の主題は「愛」で、俗世の愛とも神への愛とも解釈可能な抒情詩を500近くも残している。
後に編纂された『ハーフェズ詩集』は、東西の文化に影響を与え、ゲーテは晩年、ハーフェズの詩に感銘を受け、『西東詩集』が綴られた。ハーフェズの詩についてゲーテは「ハーフェズの詩を理解するには 魂まで一汗かく必要がある」と語ったという。
恋と酒と自然の美などを主題とした作品が多く、民衆に広く愛され、現代でも「コーランなくとも各家庭にはハーフェズ詩集あり」とまで言われている。また、詩集を用いた「ハーフェズ占い」なるものも存在し、街中でおみくじのように売られていたり、各家庭ではシャベ・ヤルダー(冬至の夜)にこの占いをする。
『ハーフェズ』の称号
クルアーン(コーラン)を全て暗唱する者の称号をハーフィズという。シャムスッディーンも暗誦者であってハーフィズの号を冠しており、そのため単に『ハーフェズ』と呼ばれる。
著作
- ハーフィズ著『ハーフィズ詩集』(東洋文庫 299)(黒柳恒男訳) 東京, 平凡社 , 1976.12 ISBN 4582802990
関連項目
- 『ハーフェズ ペルシャの詩』
- イラン人映画監督アボルファズル・ジャリリによる2008年の映画作品。ハーフェズの存在にインスピレーションを感じ、作られた作品。