タトラT400

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タトラT400
タトラ400
タトラT400(オストラヴァ2009年撮影)
基本情報
製造所 タトラ国営会社スミーホフ工場
製造年 1948年 - 1955年
製造数 195両
主要諸元
軸配置 3軸バス
設計最高速度 65 km/h
車両定員 着席26人
定員80人
車両重量 10.5 t(1・2次車)
11.7 t(3次車)
全長 11,400 mm(1・2次車)
11,380 mm(3次車)
全幅 2,500 mm
全高 3,110 mm(1・2次車)
3,140 mm(3次車)
主電動機出力 120 kw(1・2次車)
65 kw(3次車)
歯車比 9.82
出力 120 kw(1・2次車)
130 kw(3次車)
備考 主要数値は[1][2][3][4][5]に基づく。
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タトラT400(Tatra T400)は、チェコスロバキア(現:チェコ)のタトラ国営会社スミーホフ工場)が製造したトロリーバス車両。第二次世界大戦後のトロリーバス車両の需要に応えるため、1940年代後半から1950年代中盤まで生産が実施された。タトラ400(Tatra 400)と呼ばれる場合もある[1][2][3]

概要[編集]

第二次世界大戦後、当時のチェコスロバキアでは多数のトロリーバス路線が開通し、それに合わせたトロリーバス車両の需要が高まっていた。それを受け、プラハに工場を有していたタトラ国営会社が開発したのがT400である[1][2][3][5]

シャーシは当時タトラが生産していた3軸トラックのタトラ111チェコ語版のものが流用されており、主電動機からの動力を後方の2軸へ伝達する構造が用いられた。モノコック構造が用いられた車体には3箇所に乗降扉が設けられ、車内の座席配置はロングシートが採用された他、客室は主電動機からの送風、運転席は電気抵抗器を用いた暖房機能が搭載されていた[1][2][4][5][6]

1948年から1955年にかけて試作車を含めて4次に渡って生産が行われたが、そのうち最終量産増備車である3次車(T400/IIIA)については主電動機の個数が2基に改められた他、それに合わせて車体設計の変更も実施された。一方で回生ブレーキも搭載されたが故障が相次ぎ、これを受けて1955年に1両が製造された試作車(4次車)は発電ブレーキに変更されたものの、それでも故障の頻発が改善される事はなかった[1][2][4][5][7]

全195両が製造されたタトラT400は、大半の車両が導入されたプラハプラハ・トロリーバス)に加えて以下の都市で使用され、プラハ[注釈 1]やオストラヴァでは1970年代前半まで営業運転に使用された。2021年現在、オストラヴァブルノプラハブラチスラヴァに保存車両が存在し、動態保存運転も各都市で行われている[2][4][5][8]

タトラT400 導入都市一覧[9]
都市 導入車両数 備考
プラハ
(プラハ・トロリーバス)
136両
ブラチスラヴァ
(ブラチスラヴァ・トロリーバス)
25両
オストラヴァ
(オストラヴァ・トロリーバス)
20両
モスト
リトヴィーノフチェコ語版
(モスト/リトヴィーノフ・トロリーバスチェコ語版)
14両 1959年の路線廃止後は各都市へ譲渡

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ プラハではトロリーバスが廃止される1972年まで使用された。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e Tatra T 400”. imhd.sk. 2021年12月19日閲覧。
  2. ^ a b c d e f Trolejbus Tatra T400/IIIA č. 26”. Dopravní podnik Ostrava a.s.. 2021年12月19日閲覧。
  3. ^ a b c Plzeňských městských dopravních podniků, a.s (2011-6). Plzeňské trolejbusy slaví 70 let. pp. 6. https://www.pmdp.cz/WD_FileDownload.ashx?wd_systemtypeid=34&wd_pk=WzE5OTQsWzQ0XV0%3D#:~:text=Ke%20sv%C3%BDm%2070.,znovuuveden%C3%AD%20do%20provozu%20s%20cestuj%C3%ADc%C3%ADmi. 2021年12月19日閲覧。. 
  4. ^ a b c d Ondřej Pavlůsek (2018年11月19日). “Tatra má ve své bohaté historii i autobusy a trolejbusy”. AUTO.cz. 2021年12月19日閲覧。
  5. ^ a b c d e Martin Harák 2015, p. 102.
  6. ^ TATRA 111 A JEJÍ SOUROZENCI”. Muzeum nákladních automobilů Tatra Kopřivnice. 2021年12月19日閲覧。
  7. ^ Martin Harák 2015, p. 104-105.
  8. ^ Libor Hinčica (2017年10月15日). “Trolejbusový provoz v Praze znovu zahájen”. Československý Dopravák. 2021年12月19日閲覧。
  9. ^ Tatra T400”. Urban Electric Transit. 2021年12月19日閲覧。

参考資料[編集]

  • Martin Harák (2015-11-10). České trolejbusy historie a současnost, typy, technika, provoz. Praha: Grada Publishing a.s.. ISBN 978-80-247-5552-6